受注機会の確保を 常陸河川国道事務所に要望(県土木部)

[2022/5/26 茨城版]
 県土木部は24日、国土交通省常陸河川国道事務所を訪れ、国の直轄工事における県内建設業者の受注機会の確保要請についての要望活動を行った。今回の要望では、県内に本店を有する建設業者への優先的な発注のほか、5項目について要望を実施。田村央土木部長が日下部隆昭所長に要望書を手渡した。これに対して日下部所長は、地元建設業者の維持・育成のため、受注機会の確保は重要との認識を示し、引き続き地元業者の活用に向けた各種取り組みを実施していく考えを示した。

 県土木部による県内建設業者の受注機会確保の要請は、県内を管轄する関東地方整備局の各出先事務所に対して例年実施しているもの。今回県土木部が要望した内容は、▽県内に本店を有する建設業者への優先的な発注▽自治体実績評価型や地域密着工事型の総合評価落札方式の積極的な活用▽総合評価落札方式における企業の信頼性社会性項目(地域精通度・地域貢献度)の高配点化▽大規模災害からの復旧・復興工事に係る復旧・復興JVの導入▽県内の建設資機材の活用──の5項目となる。本年度も常陸河川国道事務所を皮切りに、工事発注が本格化する前に各出先事務所へ要望を行っていく。

 冒頭には田村部長が本県の取り組みとして、東日本大震災や関東・東北豪雨、令和元年東日本台風などの大規模災害からの復旧・復興や、県総合計画で示した「災害・危機に強い県づくり」などを実施していることを説明し、「災害発生直後の迅速な復旧には、地元建設業者が大きな役割を果たしていると考えている。そのため、災害時の対応力強化には、地元建設業者の育成・支援が重要」との認識を示した。

 しかしその一方、地元建設業を取り巻く環境として、新型コロナウイルスの影響や、資材価格の高騰、若年入職者の減少、技術者の不足・高齢化などが顕在化していることに触れ、「本県では県内の経済や雇用対策、地元業者の育成という観点から、県内の建設業者の受注機会の確保に努めており、今後更なる対応が必要」との考えを示し、常陸河川国道事務所発注の工事・業務についても、県内建設業者の受注機会の確保などに向けて特段の配慮を求めた。

 これに対して、日下部所長は「地元建設業者は地域の安全・安心を支える必要不可欠な存在」との認識を示したうえで、受注機会の確保は極めて重要な問題だとし、県土木部から要望のあった各項目の実施状況を説明した。

 このうち、自治体実績評価型や地域密着工事型の総合評価落札方式の積極的な活用や総合評価落札方式における企業の信頼性社会性項目(地域精通度・地域貢献度)の高配点については、これまでも進めてきたことを紹介した。今後はさらなる利活用を視野に入れて、取り組むことを明示。測量・調査業務においても本県の所在を資格要件とする試行を実施しており、業務発注でも県内業者の受注機会の確保に努めていくとした。

 また、復旧・復興JVの導入については、今月20日に閣議決定した「入札法適正化指針」の一部変更のなかで、同JVが追記されたことに触れたうえで、県土木部から要望があったことを関東地方整備局に伝えることを説明。最後に「これらの取り組みを推進するとともに、県と連携しながら地元建設業者の受注機会確保に向けた取り組みを推進していきたい」と語った。

 なお、県土木部の要望に対する常陸河川国道事務所の昨年度の取り組み状況をみると、「県内建設業者の受注機会の確保」への対応として、自治体実績評価型で2件、地域密着工事型で21件、地域防災担い手確保型で20件の契約手続きを行った。測量・調査・設計業務での県内業者への配慮としては、「本店の所在」を参加資格にする試行を測量業務3件で実施した。

 また、建設業界への若年入職者の減少による技術者などの不足や高齢化対策として、若手技術者活用評価型30件、ICT活用工事41件、監理技術者育成交代モデル工事2件で実施している。

 以下、要望書の内容は次の通り。
【県内建設業者等の受注機会の確保等に関する要望】

 本県では、東日本大震災や関東・東北豪雨、令和元年東日本台風などの大規模災害からの復旧・復興を早期かつ着実に実施するとともに、施設の耐震化など防災・減災、国土強靭化に資する社会資本整備を進め「災害・危機に強い県づくり」に全力で取り組んでいる。このような中、災害発生後における被災箇所の迅速な復旧や二次災害の防止に地元建設業者が大変重要な役割を果たしていることから、そのためにも災害時の対応力を強化するため、地元建設業者の育成支援が重要であることを改めて認識している。

 その一方で、建設業を取り巻く状況は、先行きの不透明感が強まる中、新型コロナウイルス感染症の影響や資材価格の高騰により厳しい経営環境にある。また、建設業界への若年入職者の減少による技術者などの不足や高齢化などの問題も抱えている。本県では、県内の経済対策、雇用対策および地元建設業者育成の観点から、県内建設業者の受注機会の確保に努めているところであり、今後さらなる広範な対応が必要と考えている。

 ついては、本県内で予定されている貴所所管の直轄工事においても、県内建設業者の受注機会を確保するため、県内に本店を有する建設業者への優先的な発注、本県の工事成績評定点と表彰を評価する自治体実績評価型や地域密着工事型の総合評価落札方式の積極的な活用、および総合評価落札方式における企業の信頼性社会性項目(地域精通度・地域貢献度)の高配点化、大規模災害からの復旧・復興工事に係る復旧・復興JVの導入、県内の建設資機材の活用などについて、特段の配慮を要望する。

 また、測量・調査・設計業務においても、県内業者への発注について、特段の配慮を要望する。

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