防災集団移転の実施へ 宮原地区で説明会 住宅団地整備を構想(那須烏山市)
[2022/5/24 栃木版]
那須烏山市は、宮原地区の防災集団移転を計画しており、22日に宮原公民館で地元説明会を開催した。説明会によると、市は今月中にもコンサル業者と委託業務を契約して宅地の測量調査を行い、その結果を基に集団移転促進の対象となる災害危険区域を指定する。2023年3月には、集団移転促進事業計画の概略計画を策定し、国・県との協議や要望活動を行うという。24年3月にも集団移転促進事業計画の策定を目指すとしており、今後は各種調整・協議・検討などを進めて移転先を決定し、住宅団地整備を行う。
年度末にも事業概略計画策定
那須烏山市では、2019年に発生した東日本台風で被災した下境地区や宮原地区について、防災集団移転に向けた検討や地元との協議を進めている。宮原地区では、近隣にある一級河川那珂川が溢水して住居などが浸水する可能性があることから、早急に防災・減災対策に取り組む必要があるとしている。
市は、宅地の測量調査を実施して高さを計測し、測量結果を基に洪水に対して危険性が高い区域一帯を災害危険区域に指定するという。測量調査については、状況によって宮原地区と下境地区の業務を分離し、新たに発注する可能性もあるとした。
災害危険区域に指定された場合、区域内の住居、病院、ホテルなどについて建築制限や構造制限を設定し、市が条例で定めた基準水位より低い宅地では、新たに住居が建築できなくなるという(工場や店舗等の事業所は除く)。
市では、災害危険区域に指定された区域を対象に、防災集団移転促進事業を進めるとしている。この事業は、一定の安全を確保できない住居について全戸移転を行うもので、災害危険性の高い箇所で合意を得たエリアから順次、移転する方法を検討する。移転にあたっては、同じ地区内(宮原地区の場合は宮原地区内)に移転するとした。
移転先については、住宅団地を整備する。移転対象者は、集団移転促進事業計画策定時の、事業計画区域内の居住者が対象で、宅地や住宅を所有していても居住していない者は対象外となる。移転にあたっては、新規の住宅団地の整備だけではなく、既存集落への差し込み型での移転も検討するという。
住宅団地整備に向けては、安全性(ハザードエリア外など)、生活の維持(日常生活、自然環境など)、整備コスト(道路、水道)の観点から整備箇所を総合的に検討する。移転希望者や整備候補地の民地所有者などと協議を進め、整備候補地を決定した後は、住宅団地整備計画を検討・策定し、住宅団地を整備して移転を行う。
住宅団地整備は、移転住居戸数が5戸以上かつ移転希望住居の半数以上が移転することが条件となる。住宅敷地面積は、平均で330平方mとした。移転方法については▽1つの移転促進地域から1つの住宅団地に移転▽複数の移転促進地域から1つの住宅団地に移転▽1つの移転促進地域から複数の住宅団地に移転▽複数の移転促進地域から複数の住宅団地に移転-のケースが可能となっている。
住宅団地整備にあたっては▽団地内道路や、幹線道路との接続道路▽宅地内の第1水弁までの水道施設▽集会施設▽公園(本県では、住宅団地が1haを超えた場合に整備)-の整備も想定している。
地元説明会では、住民から集団移転後の跡地について有効利用すべきとの要望が出された。これに対し市は、地域活性化に向けて地元と意見交換しながら検討を行うと答えている。