県西で現地調査 上曽トンネルの現場など視察(県議会土木委員会)
[2022/5/14 茨城版]
県議会土木企業立地推進委員会(長谷川重幸委員長)は12日、県西地区で現地調査を実施した。今回は桜川市で上曽トンネル(仮称)整備事業のトンネル本体工、坂東市で結城坂東線の整備事業、常総市で八間堀川の河川改修事業と、常総IC周辺のアグリサイエンスバレー構想などの視察を行った。筑西土木事務所と境工事事務所、常総工事事務所の担当者らからの説明を受けて、各事業の進捗状況を確認した。
調査ではまず、桜川市真壁町山尾地内で進めている上曽トンネル整備事業のトンネル本体工事の進捗を視察した。この事業は桜川市と石岡市間の上曽峠をトンネルで結ぶ幹線道路事業。上曽峠を通る石岡筑西線は、幅員が狭く、線形不良で急勾配の山岳道路であるため、冬季は路面凍結、降雪などにより通行規制が余儀なくされている。
トンネルの整備により、大型車両を含む一般車両の円滑な通行が確保され、災害時の緊急輸送や筑波連山を挟む東西地域間の交流促進と地域振興に寄与することが期待できる。また、県西地域から茨城空港までを東西に結ぶ基軸が形成されることにより、県南・県西地域間の連携強化を図り、地元産業や物流・観光を支える重要な路線となる。
現在は桜川市と石岡市の両側から掘削を進めている。全体延長は5580m(石岡市間2950m、桜川市間2630m)とし、このうちトンネル延長は3538m(石岡市側1939m、桜川市側1599m)。全体事業費は約123億7000万円で、進捗率は約57.9%となる。供用開始時期は25年度になる見通しだ。
続いて、坂東市に移動して結城坂東線の整備について説明を受けた。同線は結城市結城を起点とし、坂東市街地を南北に縦断してつくば野田線に至る広域的な幹線道路で、第2次緊急輸送道路となる。この事業は交通渋滞の緩和と圏央道坂東ICへのアクセス向上を目的として、坂東市沓掛地内から岩井地内までの延長3000m区間が06年度に事業化した。このうち、坂東ICの開通にあわせて優先区間1120mを17年に供用を開始した。現在は残る1880m区間の事業を進めている。
本年度は道路改良工事や道路改良舗装工事を進めていく。改修延長は3000m、幅員16/6.5mで計画。全体事業費は34億円に設定している。このうち、21年度の事業費は5億9000万円(うち補正2億4000万円)、22年度の事業費は1億9200万円。進捗率は71%となる。
続いて移動した常総市では八間堀川の河川改修とアグリサイエンスバレー構想を視察した。このうち、八間堀川は下妻市加養地内を上流端とし、常総市水海道橋本町地内で新八間堀川に分岐し、常総市水海道淵頭町地内で小貝川と合流する全体延長1万7770mの河川となる。01年度までに下流部の1万0730mの改修が完了。現在は土浦境線から上流の千代川工区4650mで事業を進めている。
本年度も引き続き橋梁工事と河道拡幅工事などを実施していく。全体事業費は約65億円に設定。進捗状況は千代川工区において、工事は約53%、用地買収は約78%が完了している。
次にアグリサイエンスバレー構想を視察した。この事業は、常総IC周辺の62haに農業主体の新産業団地を整備するもの。国道294号東側の都市エリアには土地区画整理事業により農業生産物系の物流・産業系企業、道の駅や直販所を設置する。西側の農地エリア(事業区域約14ha)では、調整区域のまま市施行の土地改良事業により、畑地化や農地の集約・大区画化を図った上で、民間事業者が大規模施設園芸施設や観光農園への転換を進めていく。常総市IC周辺地区土地区画整理組合事務所で説明を受けた後、現地視察を行った。
今回の県内調査について、長谷川委員長は「念願の上曽トンネルが順調に進んでいることを視察できて、非常に感動している。トンネルが開通すれば、産業を含めたさまざまな交流が深まることを期待する」などとコメントした。