資機材高騰の対応確認 公共投資推進へ意見交換(日建連東北と東北整備局)

[2022/5/13 宮城版]

担い手確保や入札制度改善などについても話し合った

担い手確保や入札制度改善などについても話し合った

 日本建設業連合会東北支部(森田康夫支部長)は11日、仙台市内で東北地方整備局との意見交換会を開催した。森田支部長は、ウクライナ問題などで資機材価格の高騰が懸念され、「建設業の経営も不透明性が高まっている」と指摘。同局は受注者と協議しながら物価スライド条項などに基づき適切に対応することを伝えた。

 意見交換会には、日建連から森田支部長ら12人、同局から稲田雅裕局長ら12人が出席。東北地方における公共投資の推進や、担い手確保に向けた取り組み、入札・契約制度の改善などについて非公開で話し合った。

 あいさつで稲田局長は、東北管内の予算について、本年度に直轄と補助を合わせ6034億円(うち直轄が2469億円)、昨年12月の補正予算を含めると8257億円(同3296億円)が計上されたことを報告。「震災前と比べると若干減りつつも、そこまで大きく減ってない」とし、この予算を活用して「防災・減災、国土強靭化のための5カ年加速化対策をしっかり進める」と話した。

 宮城県が10日に新たな津波浸水想定を示し、これまでの想定より浸水エリアが拡大したことに関しては、ハードで全てを守るわけにはいかないとしつつも、「国土強靭化の必要性を喚起するきっかけになった」と語り、「具体的に今後何をしていくかはしっかり考えていきたい」と述べた。

 森田支部長は、国土強靭化に貢献していくことが建設業界の使命とする一方で、「労働力人口の減少対策を講じていかなければならない」と発言。担い手不足の解消が喫緊の課題とし、日建連として技能労働者の処遇改善や育成に注力し、現場における週休2日を確実にするための4週8閉所の実現や建設キャリアアップシステム(CCUS)の普及促進などに向け、具体的な取り組みを進めると決意表明した。

 意見交換では、東北での公共投資の推進に関し、日建連がコロナ下での社会経済活動の着実な回復と、高規格道路・港湾・ダムなどストック効果の高いインフラ整備や中・長期的な大型プロジェクトの創出が必要とし、公共事業費の持続的かつ安定的な確保を要望した。

 日建連としてもインフラ投資が促進されるように、一般国民に向けて社会資本整備の重要性に関するシンポジウムなどを関係団体とともに開催していく意向を示した。これに対し同局は、現場見学会なども含めて一緒に対応したいと応じた。

 資機材の価格高騰に関しては、日建連が本年度、おおむね3%の賃上げ実現を目指して取り組んでおり、今後急激なコスト上昇が土木工事等に波及した場合には、適切なコストに転化するよう関係市町村や民間土木発注者などに対して働きかけるよう求めた。

 同局は、鋼材やアスファルト溶剤がやや高騰傾向にあることを認め、受注者からの申し出があればスライド条項の適用で対応したいと回答。10日付で同局から各事務所長宛にスライド条項の適切な対応に関する通知を発出したことも紹介。丁寧な対応を促すとともに、現場の監督職員にまで周知するよう求めたそうだ。

 このほか、民間工事に関しても4月26日付で本省から民間事業者などに対して物価変動に対する文書が出されたことも報告。自治体に対しては発注者協議会を通じて適切に資材対策を行うよう求めていくとした。

 担い手確保のテーマでは、同局がCCUSのモデル工事や制度普及に向けた取り組みを行っていくと説明。週休2日の取り組みは、実施証明書の発行を人口10万人以上の地方自治体にも拡大していきたいと伝えた。

 入札・契約制度の改善では、日建連ができる限り積算条件を細かに開示するよう求め、同局が見積もり参考資料など契約に必要なものはできるだけ開示していくと応じた。発注仕様や技術提案内容を大きく変更する場合は、事前に十分理解してもらえるよう努めると伝えた。

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