那珂川治水対策を推進 本年度の事業概要 50号協和BPで用地着手(常陸河川国道)
[2022/5/7 栃木版]
国交省常陸河川国道事務所は、本年度の事業概要を公表した。河川事業では「久慈川緊急治水対策プロジェクト」および「那珂川緊急治水対策プロジェクト」を引き続き推進し、道路事業は国道50号下館バイパスの改良工事を進めるとともに協和バイパスで用地買収に着手する。事業費は、河川の改修や環境整備事業費が計8億9100万円、道路の改築や電線共同溝事業費が計293億7300万円の、合計302億6400万円を計上している。
河川事業では、令和元年東日本台風で久慈川水系・那珂川水系に甚大な被害をうけたことから、国、県、市町村が連携し多重防御治水の推進、減災に向けたさらなる治水対策の取り組みで社会経済被害の最小化を目指す緊急治水対策プロジェクトを推進している。
このほか、施設の被災防止、河川の適正な利用、流水の正常な機能維持および河川環境の整備と保全のため、河川維持・修繕を実施している。事業費は、一般河川改修事業で久慈川に4億円、那珂川に4億8600万円と、那珂川の総合水系環境整備事業に500万円を確保した。
河川改修事業については、那珂川緊急治水対策プロジェクトで河道掘削や遊水地、堤防整備を、久慈川緊急治水対策プロジェクトで河道掘削や堤防整備、霞堤整備を計画。辰ノ口築堤や大野築堤、勝田築堤、吉沼築堤、野口築堤、下伊勢畑築堤、大場遊水地で事業を推進する。
那珂川緊急治水対策プロジェクトは、多重防御治水の推進として河道の流下能力の向上、遊水・貯留機能の確保・向上、土地利用・住まい方の工夫に取り組んでいる。全体事業費は約665億円(災害復旧約219億円、改良復旧約447億円)を見込み、19年度から24年度までの期間で河道掘削や遊水地、堤防整備などを実施する。
県内では、那珂川支流の荒川で堤防整備、荒川と那珂川の合流点付近で霞堤整備を検討するほか、土地利用・住まい方の工夫に関して集団防災移転促進事業や土地利用制限・家屋移転などを検討していく。
このほか、総合水系環境整備事業は那珂川の戸多環境整備で基盤整備などを計画。河川維持修繕は那珂川(県内区間延長39kmを含む)と久慈川で、堤防除草や堤防法面補修、塵芥処理、堤防点検、河川巡視、天端補修、堤防・護岸・樋管の維持・修繕、堆積土砂の撤去、水門・樋管の点検整備、水質事故・不法投棄対策などを実施する。
道路事業は、東関東自動車道水戸線(潮来~鉾田)をはじめ国道6号、国道50号、国道51号の改築事業に285億9800万円、国道6号の電線共同溝事業に7億7500万円を予算化した。
このうち国道50号下館バイパスは、12億7500万円を配分して調査設計、用地買収、改良工事、橋梁下部工事を実施する予定。この事業は茨城県筑西市内の交通混雑緩和と交通安全の確保を目的とした、延長10.6kmのバイパス事業となる。これまでに東側の7.6kmが暫定2車線で開通済みで、現在は西側の現道拡幅区間3.0kmの4車線化に向けた整備を進めている。
また、同バイパス東側に位置する国道50号協和バイパスでは、調査設計のほか新たに用地買収に着手する予定で、事業費2億円を計上した。茨城県筑西市および桜川市内の交通混雑緩和と交通安全の確保、物流生産性向上を目的とした延長6.3kmのバイパス事業で、茨城県と栃木県を結ぶ東西軸の速達性向上などが期待される。
協和バイパスのさらに東側では、桜川筑西IC関連(延伸)で延長1.2kmの現道拡幅事業を実施している。25年春頃の開通(用地取得が順調に進んだ場合)に向けて、22年度は予算額1億6700万円で調査設計、用地買収、改良工事を実施する予定となっている。
このほか、施設の老朽化対策など各路線の適切な維持管理に努め、個別路線の事業化に向けたルート・構造検討に係る調査なども進めていく。22年度の道路調査の見通しは、ネットワークに関して国道6号小美玉道路(仮称)の概略ルート・構造の検討を計画。交通拠点では、潮来IC周辺の機能強化の必要性などの調査を実施する。