安原晃千葉港湾事務所長の就任インタビュー 「プロジェクト管理にスピード感」
国土交通省千葉港湾事務所の安原晃所長が4月1日付けで就任した。本紙インタビューに応じ、千葉中央地区の複合一貫輸送ターミナル整備事業や、事業化した船橋地区の海岸保全施設整備事業を重点的に進めていく考えを示し、「スピード感を持ったプロジェクト管理に取り組みたい」と抱負を語った。
──本県の関わりや印象は。
「千葉港湾事務所での勤務は初めてとなるが、港湾空港部で経験を積ませてもらった中での知識がある。実際に赴任してみると管轄範囲が広く、特に千葉港は地区ごとに多様性に富んでいる印象だ」
「各事業に対して、本当に地元が期待や応援をくださっていることを実感している。今までも各港に赴任するたびに、地域や港を好きになるところから取り組んできた。プライベートでも、さまざまな表情の県内を見て回り、すぐに“我が街、我が港”と言えるようになると思う」
──就任の抱負を。
「首都圏に位置する千葉港は、年間貨物取扱量が常に上位となっており、昨年は名古屋港に次いで第2位。今後も世界の成長を取り込み、首都圏を成長させる重要な役割がある。港の持つターミナル機能やアクセス性を伸ばし、防災力を高めることが重要だ。一つ一つのプロジェクトを着実に進めていく」
「それを実現するには、事務所職員の健康が土台となる。所長という立場で、風通しの良い組織や職員が力を発揮できる環境づくりにも努め、充実した所長時代を過ごしたい」
──重点的に取り組みたいことは。
「まずは、京葉コンビナートなどの物流を支える複合一貫輸送ターミナル整備事業だ。千葉中央地区では、特にRORO船により輸送される貨物需要の増加を受け、輸送船の大型化ニーズへの対応から、ふ頭再編の先駆けとなる、水深9mの岸壁整備が本格化する。利用者が求めているのは、供用に向けた“速度”。工程感を意識したプロジェクト管理に努めていく」
「近年、頻発化・激甚化する台風災害や切迫性が指摘されている首都直下地震への対応が求められており、護岸や水門など海岸防護施設の老朽化が課題となっている。千葉港船橋地区では、想定される甚大な被害を防護する海岸保全施設について、直轄による整備箇所が本年度から新規事業化した。同様に“速度”が求められており、早期の現地着手に向けた調整に汗を流したい」
「東京湾内で発生する青潮の原因となる貧酸素水塊の発生箇所の埋め戻しによる青潮対策や、カーボンニュートラルに貢献するブルーカーボンの促進、昨年就航した海洋環境整備船「新べいくりん」による東京湾内清掃・油回収・災害対応など、環境や安全・安心も重要なテーマだ」
──建設業界に何を求める。
「島国日本にとって、港ほど重要なインフラはないと思う。建設業界は、こうした地域インフラの担い手となっており、災害時には協定に基づく出動要請にも応えてもらっている。今後も建設業界とともに建設現場の生産性向上や働き方改革実現に全力で取り組んでいきたい」
【プロフィル】
やすはら・あきら
1987年4月に運輸省(現国土交通省)入省。京浜港湾事務所などでの勤務を経て、2019年から関東地方整備局港湾空港部港湾事業企画課長、20年から同技術審査官を歴任し、4月1日から現職。趣味は、高校時代からの音楽活動で、バンドではベースを担当。群馬県中之条町出身。1964年1月生まれの58歳。