7月にもプロポ 上大津地区統合小学校の設計(土浦市)
[2022/4/28 茨城版]
土浦市は上大津地区の統合小学校整備事業について、本年度は基本・実施設計に着手する。事業費には当初予算で基本・実施設計委託料に22-24年度の3カ年で総額1億6266万円の継続費を設定した。入札方式については、プロポーザルを採用する予定。順調にいけば、7月ごろにもプロポーザルを告示する見通しだ。基本・実施設計策定後は、25年度から着工し、27年度の開校を予定している。
この事業は、上大津地区の生徒数減少を受けて、上大津東小学校と菅谷小学校を統合するもの。統合先については、土浦第五中学校付近に決定。統合校は施設分離型の小中一貫校として整備する。なお、基本計画は建設技術研究所(東京都中央区)が担当している。
3月に公開となった基本計画案によると、メインコンセプトは「小学校・中学校・地域の連携により、子どもたちの成長を支えていく学校」に設定。基本方針には、▽安心・安全な学校づくり▽心の豊かさを養う学校づくり▽地域に開かれた明るい学校づくり▽新たな学びを積極的に取り入れた学校づくり▽環境に配慮した学校づくり▽持続可能な学校づくり──を盛り込んだ。
ハード関連の主なものでは、公民館との複合化や新型コロナ対策などを行う。公民館との複合化は、人口減少や公共施設の維持管理費の削減などを踏まえて、検討を進める。対象となる施設は老朽化の進む上大津公民館。複合化のメリットとしては、施設機能の共有による学習環境の高機能化や多機能化、児童生徒と施設利用者の交流、地域における生涯学習やコミュニティ拠点の形成などが期待できる。
なお、市で学校と公民館の複合化に取り組むのは今回が初の試み。今後は、県外の事例などを参考にしながら、実現の可否を決定していく。
感染症対策としては、ソーシャルディスタンス確保のために普通教室の規模を変更することや、教室と廊下間の壁を撤去したオープン式の採用、保健室内に隔離スペースを設置することなどの内容を盛り込んだ。
施設配置としては、ラーニング・コモンズを中心に配置し、地域住民と小学校、土浦第五中学校との連携が図れるようにする。なお、ラーニング・コモンズは、学校図書室を核とし、多目的教室や地域開放を行う特別教室を一体的にゾーニングすることを想定している。
このほか、サブグラウンドに既存の森を生かしたビオトープや畑などを設置する。さらに、ユニバーサルデザインの採用や、将来的な用途変更などにも対応しやすい構造・設備計画、動線計画なども盛り込んだ。
また、統合小学校の整備と並行して、中学校施設の共有化についても検討を行う。対象はプールとグランドとなる。このうち、プールについては施設の老朽化が進んでおり、改修を実施する。具体的な改修方法は設計段階で決定していく。
施設の規模については、校舎棟が約6600平方m、体育館が1064平方m、プールが120平方m、公民館が340平方m、児童クラブが288平方m程度となる。概算工事費は、上大津公民館の複合化の可否により異なる。複合化する場合は42億3400万円、複合化しない場合は41億2300万円になることを想定。なお、この概算工事費には上公民館の解体工事費や道路整備費、グラウンド以外の造成費などは含まれていない。
現在はパブリックコメントを実施した基本計画案について、市民の意見を反映した内容に変更する作業に取り組んでいる。近く基本計画を策定し、公開する予定だ。
基本計画策定後には、基本・実施設計に着手する。現時点のスケジュールでは、7月ごろにもプロポーザルで公示する見通し。また、本年度には基本・実施設計に加え、学校用地の取得や埋蔵文化財試掘調査などにも取り組む。事業費には用地取得費に1億4926万円、試掘調査委託料に359万円を予算化している。