被害額約22億円 福島宮城県沖地震の災害 市議会に報告(宮城県 登米市)

[2022/4/27 宮城版]

激震で路面が陥没した南方町の市道青笹3号線

激震で路面が陥没した南方町の市道青笹3号線

 宮城県登米市は3月16日に発生した福島県沖地震の被害について、4月26日に開かれた市議会4月特別会議で状況を報告した。併せて補正予算案を提出し、災害対応費など計8億5000万円余りを盛り込んだ議案を可決された。市内では民間企業や土地改良区などの被害を合わせ、被害額が約22億円と推定された。

 登米市内では、福島県沖地震によって迫町、米山町、南方町で最大震度6強を観測した。蔵王町と並び、宮城県内の最大震度を記録した。

 市道や河川、農地、庁舎など、激震によって公共施設には甚大な被害が出ている。4月15日時点の推計では、クラウドファンディングの開設費や基金の積立金を含め、公共施設の復旧に要する経費を16億2276万円と試算した。

 最も被害額が大きい施設は道路で、3億6308万円と推定した。迫町を通る石打坂・西舘線、南方町を通る瀬ケ崎・萩洗線など311路線で路面に亀裂が入ったり、陥没するなどの被害が出た。

 下水道施設の被害額は1億6915万円と推定した。合併浄化槽の本体や配管が破損したほか、マンホール周辺の地盤が沈下し、マンホールが浮き上がったような状態になった。

 水道施設も2275万円の被害が出た。配水池やポンプ場の敷地内で、門扉や建屋が破損。米山町中津山字小深では、配水管が破損した。

 農業用施設の被害額は4211万円と推定した。米山町の五ケ村堀第2排水機場で排水ゲートの護岸が崩れ、建屋に亀裂が入った。南方町の寺下ため池など4カ所では、管理用通路が崩れた。

 小中学校の被害額は、北部給食センターの被害と合わせ2679万円に上っている。このうちの約47%は、石越小学校の被害。校舎の内壁に亀裂が入り、体育館の窓サッシが破損して1260万円の被害が出た。

 建物の被害では、公民館や各ふれあいセンターで天井や床が破損するなど、被害額は2624万円に上っている。体育館や運動公園では建物に亀裂が生じ、敷地内の路面が隆起した。被害額は1925万円に上っている。

 市のシンボルのひとつ、長沼フートピア公園のオランダ風車も被災し、回転軸や羽根が破損した。レストハウスの被害と合わせ、被害額は3531万円。市は風車の復旧について、クラウドファンディングを開設して寄付金を募る考え。返礼品や積立金、諸手続きの準備経費として補正予算で4543万円を措置した。

 公共施設の復旧に要する経費として試算した16億2276万円のうち、2021、22年度分で確保していた災害復旧費と予備費で、すでに1億1122万円を充当した。また、早急に必要な対応費を確保すべく、一般会計、水道事業会計など4つの補正予算案を編成し、計8億5885万円を措置した。

 残りの6億5269万円については、さらに災害調査の精度を高めて被害額を精査した上で、6月議会および9月議会に提出する補正予算案で措置する考え。

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