坂東に新工業団地 主要事業 新処理施設の整備を推進(県企業局)
[2022/4/27 茨城版]
県企業局の当初予算は支出の部において、水道用水供給事業が332億6452万円、工業用水道事業が188億0950万円、地域振興事業が144億9551万円の合計665億6953万円となり、前年度から19億6941万円の増加となった。主な事業では坂東市山地区で新たな工業団地整備に着手するほか、つくばみらい市福岡地区の新工業団地の造成工事や、昨年度に引き続き霞ケ浦浄水場へ新たな高度浄水処理施設の整備などを進めていく。
事業執行方針は、人口減少により水需要が減少し、経営環境が厳しさを増すなかにおいて、県民のライフラインである水を安定的・継続的に供給するとともに、企業立地などによる地域振興を図ることを設定。具体的には「企業局経営戦略」を踏まえて、▽水道事業の経営基盤強化に向けた広域化などの推進▽安定的に工業用水を供給できる事業環境の整備▽デジタル化の推進と新技術の導入▽大規模災害に備えた危機管理対策の強化▽新たな工業団地の整備などによる地域振興──を方針とし、事業を推進していく。
このうち、新たな工業団地の整備では、坂東市山地区に新工業団地を整備する。事業費には基本・実施設計委託料や用地地取得費などに合計52億9988万円を確保。本年度に調査や企業誘致活動などを行い、23年度に着工する見通しだ。
工業団地の整備場所は猿島カントリークラブ北側の用地約73haで、分譲面積は約59haを予定する。総事業費は約194億円に設定。事業の推進にあたっては、つくばみらい市の工業団地と同じく、県立地推進部が事業全体の調整や進捗管理、県企業局は事業主体として、予算の確保や契約業務を担い、県開発公社に土地造成事業業務を委託する見通しだという。
つくばみらい福岡地区土地造成事業では、造成工事に着手する。事業費には76億3975万円を計上。年度内に工事を完了し、23年度に確定測量と引き渡しを予定している。工業団地の整備場所は、つくばみらい市らが整備を行った福岡工業団地「ネクストコアつくばみらい」の南側の用地約70ha。全体事業費は約194億7100万円に設定している。
このほか、既存工業団地における未造成地の整備に15億2177万円を予算化。江戸崎工業団地第5号画地の造成工事や分譲などを予定する。
デジタル化の推進と新技術の導入では、施設管理の効率化に向けたデジタル化の推進や、霞ケ浦浄水場への新たな高度浄水処理施設の整備を実施していく。
このうち、霞ケ浦浄水場への新たな高度浄水処理施設の整備には19億4868万円を計上した。導入する新たな技術の名称は「オゾン促進酸化処理」方式。これはかび臭気原因物質そのものを、オゾンと過酸化水素の強力な酸化分解力で、完全に分解するもので、この技術を導入した施設は全国で初となる。全体事業費は52億円に設定。昨年度に引き続きオゾン接触池築造や各種設備工事を進めていく。進捗状況は事業費ベースで37.6%となり、23年度の供用開始を目指す。
このほか、工業用水スマートメーターの導入には3680万円を確保した。この事業は業務の効率化を目的に実施する。対象は鹿島工業用水道事業の70事業所で、86台の量水器に設置していく。本年度から工事を行い、導入完了は23年度になる予定だ。業務は愛知時計電機(愛知県名古屋市)が担当している。なお、工業用水へのスマートメーター導入は、全国的にみても数が少ない状況にあり、本県では初の試みとなる。
水道事業の経営基盤強化に向けた広域化などの推進では、統合に向けた施設の整備や浄水場の適正配置の検討を行う。このうち、県南県西広域水道用水供給事業の統合による施設の整備には15億2006万円を確保。この事業は20年に統合した県南西広域水道用水供給事業において、旧県西広域の新たな水需要に対応するため、余剰水が発生している旧県南広域からの水融通を行う連絡管の整備を行う。
適正配置については、県中央広域水道用水供給事業で浄水場等最適化計画策定業務委託料に2029万円、鹿行広域水道用水供給事業で鰐川浄水場の浄水機能廃止に向けた施設整備のための実施設計委託料に1億6000万円を盛り込んだ。このほか、新治浄水場の浄水機能廃止に向けて、新治給水系の送水管整備に9億7300万円を予算化している。
大規模災害に備えた危機管理対策の強化では、管路の耐震化や広域水道間のバックアップ体制の強化、老朽化施設の改築・更新などを行う。このうち、管路の耐震化には40億4426万円を計上。この事業は24年度までに管路326.5kmの耐震化を行う。全体事業費は641億4500万円に設定。進捗は54.9%となっている。
広域水道事業間のバックアップ体制の強化には3億3500万円を予算化した。この事業は水戸浄水場-鹿島浄水場間を連携する緊急連絡管の整備を行う。全体事業費は17億1100万円となり、進捗は62.4%となっている。
老朽化施設の改築・更新では、涸沼川浄水場の設備更新に2億9986万円、鹿島浄水場の中央監視制御設備更新に4億3373万円、水海道浄水場の設備更新に係るバックアップ施設整備のための実施設計委託料に7629万円などを盛り込んだ。