県内初の流動化処理プラントが完成 建設発生土のリサイクル可能に(ニシノグループ)
[2022/4/22 茨城版]
ニシノグループ(西野秀則社長)は21日、ひたちなか市にある本社敷地内で、流動化処理工法プラントの竣工式を開催した。式典には関係者らが参加し、今後の安全を祈願した。今回完成したプラントで製造する流動化処理土の特徴として、原料に建設発生土を使用することが挙げられる。これにより、現在問題となっている建設工事で発生する残土のリサイクルを可能にする。さらに、流動化処理土自体の施工性も高いため、埋め戻しをはじめとする工事での活用が期待されている。なお、流動化処理工法の常設プラントの整備は、県内では初の試みとなる。西野社長は「今後はつくばや県北、鹿行地域にもプラントを整備し、県内をカバーできるようにしたい」と意気込みを語った。
流動化処理工法は、一般的に各現場から発生する建設発生土とセメントを撹拌し、有効利用するもの。この資材の用途としては、流動性が優れているため、建築物外周や狭い場所の埋め戻しに有効となる。その効果として、建物の周りを埋め戻す場合、従来の工法では3、4人で3日ぐらいかかっていた作業を、ポンプ車を用いて2時間程度で完了することを可能にした。工期の短縮に加え、狭い場所での人力での作業が不要になる。そのため、閉所での労働災害の防止にも貢献する。
この工法を使用した大きな工事としては、福岡県博多市内の大陥没の緊急埋め戻し、東京外環トンネル付近の陥没の充填などが挙げられる。流動性の高さや、資材の値段が安価であることから、都内では現在、同工法が埋め戻しの主流として使用されているという。
施工性の高さに加え、この工法では、建設処理土の有効活用にもつながる。昨年に発生した静岡県熱海市の土砂崩れを受け、全国で建設発生土による埋立・盛土条例が厳しくなり、従来から処理に困っていた発生土の扱いがさらに難しくなったという。そうした状況のなか、残土を資材に活用できる同工法は、画期的な技術といえる。
このように、施工性とリサイクルの両面とも優れた流動化処理土であるが、これまで、県内に常設のプラントは存在しなかった。そのため、県内の工事で流動化処理土が必要な場合には、他県からコストをかけて運搬する状況にある。さらに最近では、公共工事で流動化処理土の使用を求める工事が少しずつ増えているという。
こうした背景を踏まえ、ニシノグループは県内にプラントを新設することを決定。その際には、全国で実績のあるプラントメーカーであるエースコン(本社・静岡県静岡市)と提携して整備を実施することになった。
今回設置したプラントの製造能力は1時間あたり、30立方mから40立方m程度。これからプラントの調整を行い、今月下旬からの本格稼働を予定する。
プラント設置について、西野社長は「弊社はもともと、建設発生土の処分や運搬を得意としており、以前から流動化処理土には興味があった」と説明。続けて、「今後はプラントのセットをさらに2、3台購入し、工事量の多いつくばをはじめ、県北や鹿行地域にも整備していく。それにより、県内をオールカバーできるようにしていきたい」と意気込みを語った。