浄水場で耐震化推進 水道事業経営戦略 3増圧場の統廃合検討(足利市)

[2022/4/16 栃木版]

 足利市は、計画期間を2022~31年度とする水道事業経営戦略を策定した。それによると、管路の更新や耐震化などを進めるほか、大前浄水場や南部浄水場で耐震化を推進。大前浄水場で紫外線処理施設を導入し、栗谷・橋入・松田の3増圧場は統廃合を検討する。収支計画の建設改良費について、23年度は9億7000万円を計上している。

 市の水道事業について、安全に向けては水質汚染リスクのための水安全計画の策定のほか、浄水場で適切な浄水処理方法を導入する。導入時期については、原水監視を強化するなど水質管理の充実を図り、水質検査結果を注視して検討するとしている。

 強靭化に向けては▽耐震化の推進▽バックアップ機能の確保▽緊急時における体制の確立と強化-を図る。耐震化の推進について、耐震化が必要な施設は施設耐震化計画を策定して耐震化を実施し、診断が未実施の施設は、計画的な診断を実施していく。

 バックアップ機能の確保については、水系間の相互バックアップや将来における施設統廃合の観点から、水系を見直す。渡良瀬川を横断する地震リスクの高い水道管は、耐震化を実施するほか、将来の給水量減少に備え、施設や管路のダウンサイジングを踏まえた水系の再編を検討する。浸水リスクに対しては、施設の更新計画に合わせて適切な浸水対策を行うとしている。

 緊急時における体制の確立と強化について、水道施設緊急時対応マニュアルは、予防対策や応急対策などを再検討して見直しを行う。マニュアル見直しに基づき、応急給水計画を充実させ、応急復旧計画の見直しも行うとしている。

 持続に向けては▽水道施設の計画的な更新▽水道施設の再編と適正化▽持続可能な経営の推進-を行う。水道施設の計画的な更新については、老朽化施設を更新するとしており、施設の移転なども視野に入れた整備計画も検討する。管路は目標耐用年数を超過する配水管などを計画的に更新するとしており、防災拠点や病院などの重要施設へ配水する基幹管路や、他市との連絡管を計画的に更新。更新にあたっては、耐震性の高い管種を採用する。

 水道施設の再編と適正化については、主要浄水場の機能強化や更新・耐震化を図るとともに、小規模な浄水場で段階的な統廃合を検討し、増圧施設も統廃合や再配置を検討する。将来の給水量減少を踏まえ、管路の口径縮小や施設の統廃合・再配置などのダウンサイジングを進める。

 持続可能な経営の推進については、水道施設台帳の電子システム化、水道事業の広域化の検討などのほか、官民連携を進める。実施中の浄水場等運転管理業務などのほか、ハード面だけでなくソフト面も視野に入れた包括的な民間委託も検討する。

 22~31年度の投資計画において、耐震化では中川浄水場(22年度まで)、大前浄水場(22~24年度)、南部浄水場(24~25年度)を予定。水道施設の再編と適正化では、栗谷・橋入・松田増圧場の統廃合(24~28年度)を予定する。

 安全な給水の確保では、大前浄水場浄水処理施設整備事業(25~31年度)を位置付けた。水道施設の計画的な更新では、31年度まで水道施設更新事業、管更新事業、基幹管路耐震化事業を実施。有収率向上対策では、24年度まで漏水調査および修繕を行うとしている。

 大前浄水場浄水処理施設整備事業については、紫外線処理施設を導入する。今福浄水場と緑町配水場については、水運用の適正化の検討を行い、更新計画を策定。施設の再編と適正化については、栗谷増圧場の更新に合わせて、橋入増圧場と松田増圧場の統廃合を検討する。

 収支計画における、各年度の建設改良費は次の通り。
▽22年度:11億7500万円(実際の計上は12億6994万円)
▽23年度:9億7000万円
▽24年度:9億8300万円
▽25年度:11億5100万円
▽26年度:9億7700万円
▽27年度:12億3900万円
▽28年度:10億6500万円
▽29年度:9億0800万円
▽30年度:10億6200万円
▽31年度:12億2200万円

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