5カ年で99kmを整備 無電柱化推進計画 着手率を90%に引き上げ(県道路保全課)

[2022/4/13 栃木版]

 県は、新たな県無電柱化推進計画を策定した。今後の無電柱化の基本的な方針や目標、施策などを定めるもので、計画の期間は2022年度から26年度までの5年間とする。無電柱化推進計画の延長を324kmと定め、このうち5年間で新たに99kmの無電柱化を進め、無電柱化着手率を21年度末の60%から90%にまで引き上げる。達成に向けては、国や県の機関および電線管理者などで組織する「「県無電柱化推進協議会」で調整を図るほか、コスト縮減や事業のスピードアップにも取り組むとしている。

 県は1986年から無電柱化事業に継続的に取り組んでおり、無電柱化法施行に伴う「県無電柱化推進計画」を2019年3月に策定して計画的に推進を図ってきた。

 今後、さらに無電柱化を推進するため、国、県、市町が連携し、共通認識の下で整備目標の達成に取り組んでいくことが重要なことから、今回、新たな計画を策定し、今後の無電柱化の基本的な方針、目標、施策などを定める。

 本県の無電柱化の現状は、市街地の緊急輸送道路やバリアフリー化が必要な道路、世界文化遺産周辺の地区を代表する道路などで無電柱化を進めてきた結果、整備延長が18年度末の176kmから、21年度末には194kmとなっている。

 今回の計画では、前計画と同様に防災、安全・円滑な交通確保、景観形成・観光振興の観点から無電柱化を推進していくこととし、特に市街地の緊急輸送道路を重点的に取り組んでいく。

 重点的に無電柱化を進める対象は、「防災」「安全・円滑な交通確保」「景観形成・観光振興」「まちづくり等における無電柱化の推進や道路空間のリデザイン」の観点から選定する。

 なお、具体的な無電柱化事業の実施箇所については、国(宇都宮国道事務所)、県の機関および電線管理者などで組織する「栃木県無電柱化推進協議会」などで、地域の実情を踏まえ調整する。

 無電柱化の推進に関する目標は、緊急輸送道路等の道路ネットワークの構築や整備済み区間との連続性などの観点から、無電柱化推進計画延長を324kmと定める。21年度末現在、無電柱化済みと無電柱化着手済みが194kmあり、未着手は130km。この未着手の中から、新たに99kmの無電柱化に着手する。

 内訳は、「防災」が市街地の緊急輸送道路など90km、「安全・円滑な交通確保」が特定道路、通学路など22km、「景観形成・観光振興」が世界文化遺産周辺の地区を代表する道路など21km(重複あり)。これを22年度から26年度までの5年間で整備することで、無電柱化着手率を21年度末の60%から26年度末には90%まで引き上げる。

 無電柱化の構造は▽管路構造▽小型ボックス構造▽直接埋設構造▽軒下配線▽裏配線-があり、事業手法は▽電線共同溝方式▽自治体管路方式▽要請者負担方式▽単独地中化方式▽既存ストック活用方式-がある。無電柱化事業に当たっては、構造や事業手法について、電線管理者や地元住民などとの協議を踏まえて決定する。

 なお、これらの事業手法で無電柱化を実施する場合の費用については、それぞれの整備主体の負担とする。ただし、軒下配線または裏配線を道路事業の移設補償として行う場合は、道路管理者が負担する。

 コスト縮減に向けては、効率的に無電柱化を推進するため、地中化以外の手法である軒下配線や裏配線も含め、地域の協力を得て推進する。地中化で実施する場合は、低コストな浅層埋設や小型ボックス構造、角型多条電線管などさまざまな手法を比較し、現場に応じた最適な手法によりコスト縮減を図るほか、新技術・新工法の活用も検討する。

 事業のスピードアップを図るためには、事前調整による工期短縮や既存ストックの活用、地域の合意形成の円滑化、地下情報の3次元データベース化の推進、電柱等撤去の進捗状況の把握に努めていく。

 占用制度の運用に当たっては、占用制限制度の適切な運用を図るとともに、無電柱化法第12条の規定による新設電柱の抑制と既存の電柱・電線の撤去の促進、沿道民地電柱への対応の検討を進めていく。

 さらに、近年の激甚化する災害を踏まえ、災害に強い施設、設備のあり方について検討を進めるとともに、整備後約30年以上経過している地中化施設もあるため、国で作成予定の電線共同溝点検要領(仮称)を活用し、電線共同溝の適切な維持管理を図っていく。

 関係者間の連携は、県無電柱化推進協議会を推進体制として活用し、低コスト手法の普及や事業のスピードアップにも取り組む。また、道路占用調整会議などインフラ関係者が参加する会議で工程を調整して同時施工に取り組むほか、民地の活用、土地区画整理事業などの他事業との連携にも努めていく。

 施策を総合的、計画的かつ迅速に推進するための事項としては、無電柱化の実施状況や効果などを周知し、県民の理解を広げる。また、県無電柱化推進協議会で市町村無電柱化推進計画の策定を働きかけるとともに、合意形成に関する進め方や技術的な課題について必要な助言を行う。

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