水閘門改築に540億円 江戸川下流の治水対策(関東整備局)
[2022/3/4 千葉版]
関東地方整備局は、江戸川下流部で治水機能確保対策に乗り出す。3日の計画段階評価検討委員会(委員長・山田正中央大学研究開発機構教授)で、老朽化が進む江戸川水閘門を撤去し、同じ機能をもつ水閘門を改築する対応方針案が了承された。事業費は約540億円を概算している。
この委員会は「江戸川下流部の治水機能確保対策における計画段階評価」の対応方針案を決定するため、学識経験者など第三者から意見を聴く場として設置。計画段階評価では、新規事業採択時評価の前段階において、政策目標を明確化した上で、複数案を比較・評価する。
江戸川水閘門は、江戸川放水路分派後の旧江戸川上流端に位置する。1943年3月に竣工した施設で、築80年近くが経過している。鋼製ローラーゲートで、規模は水門が幅10.6m×扉高5m×5門、閘門が幅13.4m×扉高6・5m×2門となっている。
老朽化し、健全性・信頼性が著しく低下しているため、改修することで江戸川下流部の治水安全度の確保を目指す。具体的な達成目標は「河川整備計画の河道の目標流量1秒当たり5000m3を計画高水位以下で安全に流下させる」とする。
複数案を比較・評価し、対策案として「江戸川水閘門改築案」と「江戸川水閘門を迂回する放水路整備案」を抽出。コスト面などで、老朽化した現施設を撤去し、同じ機能をもつ水閘門を改築する「江戸川水閘門改築案」が有利となっている。
計画段階評価における本県の意見をみると、江戸川水閘門は、人口・資産が集中する江戸川下流域において重要な治水施設であることから、江戸川下流部における治水安全度を確保するため、地元の意見を十分に聞きながら、早期に事業化するよう求めている。