岡田新一と契約 新たな文化施設の基本設計(茨城町)
[2022/2/10 茨城版]
茨城町はこのほど、「新たな文化的施設基本設計業務」に係るプロポーザルについて、岡田新一設計事務所(東京都文京区)を選定した。1月31日には同社と2700万円で契約を締結。基本設計は22年10月31日までに策定し、その後、実施設計に着手する。供用開始は26年度を見込む。
文化的施設整備事業は、中央公民館が東日本大震災で大きな被害を受けたことを踏まえ、新たな文化的施設を整備するもの。震災復興や資材・人件費の高騰を受け、一時事業を中断していたが、19年から再開し、昨年8月には基本構想を策定した。
建設場所は中央公民館大ホールとし、既存施設を解体後に新施設を整備する。具体的な施設機能には、▽ホール機能▽活動支援機能▽交流促進機能▽施設運営機能──の4機能を盛り込む。
このうち、ホール機能では、合唱や演奏、演劇などの文化活動や大規模な式典に対応できるよう、多目的ホールやギャラリー、楽屋、トイレなどの配置を予定する。延床面積については、約1600平方m程度を想定し、500席程度を確保する。
活動支援機能には音楽練習室や軽運動室、会議室、和室などを配置し、床面積は約400平方m。交流促進機能では、エントランスや多目的室、ラウンジ、屋外広場などで延床約400平方m。施設運営機能には、事務室とキッズルーム、調理室、トイレなどで約600平方mを確保する。施設全体では合計3000平方mの規模になる予定だ。
施設整備にあたっては、周辺建築物の景観に配慮するとともに、都市部と農村部が調和した茨城町らしい外観デザインとし、安心感やすごしやすさを感じさせる施設にする。また、文化的施設は指定避難所としての役割を担うため、施設の耐震化や不燃化なども実施していく。このほか、環境面への配慮として、太陽光発電システムの設置による再生可能エネルギーの活用や、省エネルギー設備による環境負荷低減、雨水貯留槽の設置なども検討していく。
プロポーザルには10者が参加。審査の結果、最優秀者に岡田新一設計事務所、優秀者に新居千秋都市建築設計(東京都目黒区)を選定した。
最優秀者となった岡田新一設計事務所の提案について審査委員は、敷地全体を建築物と広場が一体的に利用する配置計画にして、既存の町民広場と新たな文化的施設およびイベント広場が連動して交流を促進するという提案が魅力的であると評価。具体的には、施設内を南北に貫くメインストリートと、町民広場とイベント広場を繋ぐ通路の2つの軸線によって、メインストリートと各諸室がオープンに接続した平面計画が、多世代の交流ができるなど基本構想の3つの基本方針の実現が期待できると指摘した。
このほか、地域の防災拠点としての利用についても具体的な提案がされているほか、屋上テラスを浸水災害時の垂直避難場所にするなど、防災・減災面でも機能的だと評価。また、町民ワークショップで設計段階だけでなく、工事段階からオープン後まで具体的な活動を支援するという提案は、町民とともにつくるという観点において、非常に優れているとした。その結果、全体を通して同計画を高く評価し、最優秀提案者に選定することになった。
施設整備全体の概算事業費は総額26億円に設定。内訳は測量・地質調査委託料1000万円のほか基本・実施設計、工事監理委託料の合計が1億6000万円。工事費は解体・造成工事費8000万円、本体工事費20億円、外構工事費2億円となる。このほか備品購入に1億5000万円を予定する。
今後は、基本設計を策定したあと、22年度に各種調査業務、22-23年度に実施設計の策定を行う。設計策定後は、23年度に解体と造成工事、24-25年度に本体・外構工事を行い、26年度の供用開始を目指す。