本県は3カ所指定 踏切道対策で新たに63カ所(国土交通省)
[2022/1/28 茨城版]
国土交通省はこのほど、昨年4月に施行された改正踏切道改良促進法に基づく改良すべき踏切道として、新たに63カ所を指定した。県内では、水戸市と日立市、かすみがうら市の3カ所が指定されている。
国交省では、踏切道改良促進法に基づき、交通事故の防止や交通の円滑化などを目的に踏切道対策を推進している。07年4月に緊急に対策の検討が必要な踏切として1960カ所の踏切を抽出して公表するなど、対策と検討に着手。対策の進展などを踏まえた見直しを行うとともに、対象の追加や「踏切安全通行カルテ」の公表などによる対策が進められてきた。
昨年改正された踏切道改良促進法では、踏切道の改良を更に促進し、あわせて道路や鉄道の防災機能を強化することで安全で円滑な交通を確保するとした。事故や渋滞の原因となり改良が必要な踏切については、期限を区切らず大臣が機動的に指定し、地域の声を取り込みながら踏切周辺対策など幅広い手法も活用して対策を促進する。あわせて、災害時の踏切道の適確な管理を促進する制度を創設し、近年の災害の教訓を踏まえて「道の駅」を防災拠点として活用する制度や、鉄道事業者が鉄道施設に障害を及ぼす植物等の伐採などを可能とする制度などの創設し、道路と鉄道の防災機能を強化するとされた。
この改正を受け、昨年4月には改正後の第1弾として93カ所の指定が行われた。これらの箇所では、立体交差化や拡幅などの従来の対策に加え、周辺迂回路の整備などの面的・総合的対策や踏切道のバリアフリー化など、地域の実情に応じた幅広い踏切道対策が検討・実施される。また、「踏切安全通行カルテ」を定期的に更新し、対策状況などを「見える化」を進めていくこととした。
今回本県で指定されたのは、▽遠木踏切(水戸市、常磐線、市道内原7-0052号線)▽小木津陸前浜街道踏切(日立市、常磐線、市道817号線)▽角来前踏切(かすみがうら市、常磐線、市道4号線)──の常磐線にかかる踏切3カ所となっている。
水戸市の遠木踏切は、通学路であるものであって幼児、児童、生徒又は学生の通行の安全を特に確保する必要があるもの(第二条第9号)として指定を受けた。日立市の小木津陸前浜街道踏切では、鉄道と特定道路とが交差している場合におけるものであって移動等円滑化の促進の必要性が特に高いと認められるもの(第二条第11号)として指定され、かすみがうら市の角来前踏切では、踏切道における交通量や事故の発生状況、踏切道の構造、地域の実情その他の事情を考慮して、踏切道の改良による事故の防止又は交通の円滑化の必要性が特に高いと認められるもの(第二条第12号)としての指定となった。
このうち、水戸市の遠木踏切は、イオンモール水戸内原の東側に位置する踏切で、妻里小学校の通学路にもなっている。幅員が3mと狭あいで歩道もないため、車両や歩行者が錯綜する危険な状況だという。市では、内原7-0052号線道路改良事業として延長1.2kmの改良工事を進めており、20年度からはその一環として踏切の改良工事に着手した。計画では、片側歩道の幅員10mに拡幅するもようで、22年度以降も踏切の改良工事を進めていく計画だ。