再評価の継続「妥当」 用地遅れで期間延長(栃木県県公共事業評価委員会)
[2022/1/20 栃木版]
県公共事業評価委員会(委員長・山岡暁宇都宮大学地域デザイン科学部教授)は19日、県庁舎内の会議室で本年度第3回の委員会を開き、事業の再評価と事後評価を行った。再評価は県土整備部所管事業4件で、事後評価は県土整備部所管事業10件と環境森林部所管事業1件、農政部所管事業1件の計12件。再評価はいずれも用地買収の遅れで事業期間を延長し、また3件では事業費も変更となったが、4件全ての事業継続を「妥当」と判断した。
県は再評価にあたり、事業計画に大幅な変更があるものや推定便益・推定事業費の変更がプラスマイナス10%を超える事業などについて重点的な審議(個別審議)を実施し、それ以外は一括審議を行っている。今回審議した小山栃木都市計画道路3・3・3号小山栃木都賀線の栃木市大宮町工区は、前回評価時から推定便益が10%を超えるため、個別審議を行った。
推定便益が10%を超えるのは交通量の増加によるもので、2013年の1万1400台から21年には1万3000台に増えたため、推定便益も14%増加した。今回は、難航用地の取得に土地収用法の適用も見込んで事業期間を当初計画の21年度から26年度へ5年延長し、全体事業費も33億円の計画から36億2000万円に増額。既に大部分の用地を取得済みで代替案立案は困難であるとして、事業継続を求めた。
一括審議のうち、宇都宮都市計画道路3・2・101号大通り外1路線の宇都宮市駒生工区、さくら工区、駒生町工区は、用地買収の遅れから事業期間を当初の21年度から26年度まで5年延長する。また、完成供用区間の実績を基に精査して、事業費を当初の185億円から166億5000万円に減額する。
同様に用地買収の遅れから、小山栃木都市計画道路3・4・201号沼和田川原田線の栃木市片柳町工区は21年度から26年度に、足利佐野都市計画道路3・4・1号前橋水戸線の足利市八椚町工区は21年度から27年度にそれぞれ事業期間を延長。栃木市片柳町工区は、全体事業費も17億円から18億6000万円に増額している。
事後評価案件のうち、県土整備部所管事業は道路事業が3件、街路事業が4件、河川事業が2件、公営住宅整備事業が1件となる。道路事業は県道板荷引田線の引田工区、国道123号の水橋拡幅・水橋西工区、主要地方道羽生田上蒲生線の助谷工区が対象となる。
いずれも事業着手時の目的に定めた効果の発現が確認できており、県道板荷引田線の引田工区は今後、信号機や照明、標識などの設置要望に交通管理者と協議しながら対応していく考え。国道123号の水橋拡幅・水橋西工は4車線化の早期整備の要望があることから、引き続き4車線化に向けて事業を実施する。羽生田上蒲生線の助谷工区も、信号機の設置要望に道路の利用状況を踏まえながら対応していく。
街路事業は、宇都宮都市計画道路3・3・1号鹿沼宇都宮線の下栗町工区、同3・4・202号古峯原宮通りの千渡工区、小山栃木都市計画道路3・4・212号栃木駅東通りの河合町工区、大田原都市計画道路3・4・2号西那須野線の中央工区の4件で、いずれも目的に定めた効果の発現を確認できている。
鹿沼宇都宮線の下栗町工区については、下栗交差点での南進右折車線の渋滞発生や走行位置が不明瞭などの意見があることから、信号現示の最適化を図るなど改善を図る考え。古峯原宮通りの千渡工区は未だ渋滞が残っているため、延伸区間(千渡東工区)の整備推進を図っていく。
河川事業は、一級河川江川と同武子川の河川整備で、関東・東北豪雨や東日本台風の際も浸水被害が無かったことなどから、事業着手時に目的として定めた効果の発現が確認できた。公営住宅整備事業の県営扶桑住宅建替事業も、概ね事業の目的を達成する効果が確認できたとしている。
環境森林部所管事業の事後評価は、森林整備林道事業林道与州加戸沢線の鹿沼市上永野・中粕尾地区が対象。この事業により、森林整備の促進や山村地域の振興などさまざまな効果が発現しており、事業の目的を達成する効果が確認できた。
また農政部所管事業は、圃場整備事業の鬼怒川西部地区が対象となった。事業によって農地の大区画化が図られたほか、用水の安定供給や担い手への農地集積・集約化が図られ、作付面積が増加し、水路や農道の整備、揚水機の統廃合などで維持管理費も削減されている。