復興係数を22年度継続 ICTサポーター制度新設 復興加速化会議で国交省が表明

[2022/1月18日 宮城版]
 国土交通省や東北の被災3県、仙台市らは16日、ウェブ形式で第12回目の復興加速化会議を開いた。斉藤鉄夫国交相は被災3県に適用されている復興係数について、2022年度も継続措置することを言明。新たな施工確保対策として東北地方整備局は、ICTサポーター制度を新設し、ICT施工やBIM/CIM、遠隔臨場などに取り組む地元企業を支援する考えを表明した。

 会議には国交省から斉藤国交相や稲田雅裕東北地方整備局長、自治体から村井嘉浩知事など東北被災3県の知事と郡和子仙台市長、業界団体から東北建設業協会連合会の千葉嘉春会長や日本建設業協会連合会の森田康夫東北支部長らが出席。このほか、宮城復興局、東北経済産業局、東北農政局などが参加した。

 会議では国の機関や自治体が東日本大震災からの復旧・復興の進捗状況と、今後の見通しを報告。その後、国交省や業界団体などがこれまでの取り組みと今後の復興支援策などを紹介した。

 村井知事は、これまでの復興加速化会議で国が被災地の実情や要望を汲み取ってさまざまな施工確保対策に取り組んできたことにより、「本県の復旧・復興もあと一歩という所まできた」と述べ、県として「今後も復旧・復興の完遂に向け一生懸命に取り組んでいく」と決意表明した。

 本県の復興状況を見ると、昨年11月末時点で復旧事業の未完了箇所は、道路・橋梁が9カ所、河川が13カ所、海岸保全施設が4カ所、港湾施設が4カ所で、災害に強いまちづくり宮城モデル事業の津波対策が23カ所となっている。

 斉藤国交相は、復興係数などの加速化措置について、各自治体から「円滑な施工体制の確保のために必要不可欠であり、地域の実情に沿って継続すべき」との意見があったことを踏まえ、「復興係数と復興歩掛は直近の施工実態を踏まえた一部見直しは行うものの、円滑な施工体制を確保するためにも来年度も措置を継続する」と表明した。

 これにより、間接費の割り増しを行う復興係数は「共通仮設費に1.5倍」と「現場管理費に1.2倍」という補正率が22年度も適用される。復興歩掛は土工の補正率に関し、標準作業量を20%低減から「10%低減」に見直される。

 東北整備局らが官民連携で取り組む東北復興「働き方・人づくり改革プロジェクト」の今後の取り組みでは▽ICTサポーター制度の創設▽統一土曜一斉現場閉所の「月2」への取り組み拡大▽業務と工事のウィークリースタンスの全市町村での標準化▽業務におけるウェブ会議の東北6県や仙台市への拡大▽調査業務と工事における遠隔臨場の東北6県や仙台への拡大▽デジタル技術の活用に対応した研修・セミナーの高度化──などが打ち出された。

 このうち、ICTサポーター制度は、地元企業がICTやBIM/CIMなどに関わる技術支援やアドバイスが受けられる仕組みとして創設する。具体的には企業等からICTサポーターを公募し、技術支援が可能な分野や項目、対応可能地域などを示した「ICTサポーター一覧」を作成・公表する考え。

 今後は東北復興i-Construction連絡調整会議がICT技術の豊富な実務経験や知識を持った者をICTサポーターとして公募・任命する方向で制度設計を検討していく。

 制度のイメージとしては、東北整備局がICTサポーターを登録し、国・県・市町村が発注するICT工事等で困っている企業が技術的支援を受ける際に登録者の中から安心して相談相手を選べるようにする。

 統一土曜一斉現場閉所は、東北整備局や東北の全県・全市町村の公共工事を一斉に現場閉所する取り組みで、元請や下請が週休2日を取得できる。本年度は毎月第2土曜日を一斉現場閉所日としており、2022年度は「月2」回の一斉閉所を目指して継続実施する。

 会合ではこのほか、東北建設業協会連合会の千葉会長が、復興係数の継続決定に感謝を伝えるとともに、地域の建設業が社会資本の整備だけでなく、災害や鳥インフルエンザ、豚熱への対応、除雪などといった地域の安全・安心を守るための業務に精励していることを伝え、「地域の建設業が安定的に未来永劫にわたって存続する施策を引き続きお願いする」と国に求めた。

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.