診断対象が追加に 耐震改修計画改定案を公表(県建築指導課)
[2021/1/18 茨城版]
県建築指導課はこのほど、県耐震改修促進計画の改定案を公表した。改定案によると、目標には30年度までに耐震性が不十分な住宅を概ね解消することや、25年度までに耐震性が不十分な耐震診断義務付け対象建築物を概ね解消することを掲げた。また、耐震診断を新たに義務付ける対象建築物として、災害対策本部が設置される建築物や、市町村が指定する避難所などの防災拠点建築物、緊急輸送道路などの沿道にあり倒壊した場合に道路の過半を閉塞するおそれのある建築物などを追加した。なお、県では今月中旬まで実施していたパブリックコメントでの意見募集の内容を踏まえて、近く耐震改修促進計画を策定する見通しだ。
この計画は耐震改修促進法に基づき、大規模地震による人的被害や経済的被害の軽減を目的として建築物の耐震化を促進するための取組方針を定めるもの。計画は5年ごとに見直しを行っており、現行計画が15年度に改定したものであることから、このほど、計画の改定に取り組むこととなった。
計画期間は22年度から25年度までの4年間に設定。計画は、▽建築物の耐震診断および耐震改修の実施に関する目標▽建築物の耐震診断および耐震改修の促進を図るための施策▽建築物の耐震安全性の向上に関する啓発▽耐震化を促進するための指導や命令など──で構成する。
このうち、建築物の耐震診断および耐震改修の実施に関する目標では、耐震化の現状を説明した後に、目標を設定。住宅における耐震化の現状では、18年時点で、一戸建て住宅が85.9%、共同住宅・長屋建て住宅が99.5%となり、合計で89.6%が耐震性を有している。
民間建築物における耐震化の現状は、21年度時点で、87.2%。民間施設のうち、病院・診療所などの施設が80.3%で、比較的遅れている状況にある。
公共建築物における耐震化の現状は、県有建築物で15年度に耐震化率100%を達成。市町村建築物については、21年度時点で98.1%となっている。学校や病院・診療所、社会福祉施設、賃貸共同住宅で耐震化が進んでおり、事務所などの施設がやや遅れている状況にある。
こうした現状を踏まえ、住宅については、「30年度までに耐震性が不十分な住宅を概ね解消する」ことを目標に設定した。計画では、住宅を日常生活を営むうえで最も滞在時間の長い場所であるため、地震時の人的被害を抑制するために安全性の確保に加え、被災後の生活や経済活動の維持においても耐震化が重要だと指摘。なお、目標達成に向けての中間値として、25年度に耐震化率95%を達成できるように取り組む方向性を示した。
住宅以外の建築物については、「25年度までに、耐震性が不十分な耐震診断義務付け対象建築物を概ね解消する」ことを目標に掲げる。県では市町村の耐震改修促進計画においても、この目標に基づき耐震化を促進するよう助言などを行う。また、民間の対象建築物についても、指導方針を定め、指導を行うことで、目標達成を目指していく。
建築物の耐震診断および耐震改修の促進を図るための施策では、耐震診断を新たに義務付ける対象建築物として、▽県および市町村の災害対策本部が設置される建築物や、市町村が指定する避難所などの防災拠点建築物▽高速道路や直轄国道、非常時に広域的な活動拠点となる施設へのアクセス道路の沿道において、倒壊した場合に前面道路の過半を閉塞するおそれのある建築物──を明記した。
このうち、道路に関する事項では、耐震診断義務付け道路と耐震化努力義務道路に分類。耐震診断義務付け道路は、高速道路や直轄国道、災害時の活動拠点へのアクセス道路などを対象とし、その沿道にある対象建築物に耐震診断を義務付けた。診断の対象となる要件は、高さ6m以上であることや組積造の塀で25m以上であることなど。建築物の所有者は要安全確認計画記載建築物として耐震診断を行い、その結果を25年3月までに所管行政庁に報告することが義務付けられる。なお、この計画では25年度までに概ね解消することを目標としている。
耐震化努力義務道路は、県地域防災計画に位置付ける第一次・第二次・第三次緊急輸送道路のうち、耐震診断義務付け道路を除く道路を対象とする。該当する建築物では、耐震診断や耐震改修の努力義務が課せられる。これにより、対象建築物について必要な耐震診断または耐震改修が行われていないと認められるときは、当該建築物の所有者に対し、所管行政庁が必要な場合に指示をすることができるようになる。
この計画案についての問い合わせ先は、県建築指導課企画グループ(電話029-301-4716)となる。