関東地整 発注者指定型で試行 建設現場の遠隔臨場 分任官工事は1億円以上
[2022/1/13 栃木版]
国交省関東地方整備局は12日、2022年度の建設現場の遠隔臨場の試行方針を明らかにした。それによると、本官工事は発注者指定型で試行し、分任官工事は発注者指定型で試行する工事発注規模を3億円以上から1億円以上に見直す。また試行を通じて、遠隔臨場により「段階確認」、「材料確認」、「立会」が効果的に実施可能な工種・項目と困難な工種・項目を明らかにする。2月1日以降に入札契約手続き(入札・契約手続運営委員会)を開始する工事から適用する。
同局はインフラ分野のDXを推進し、建設現場の働き方改革、生産性の向上を図るため、20年度から建設現場の遠隔臨場の試行に取り組んでいる。遠隔臨場で移動時間や立会の待ち時間が軽減され、受発注者の建設現場の働き方改革、生産性の向上が期待されるほか、監督職員は創出された時間を活用し、現場で実施することが必要な立会や打合せなどの時間が確保できるとしている。
20年度には166件を試行したが、21年度(10月末時点)は428件と約2.6倍に大幅に拡大している。この21年度の試行のうち、152件(35%)が当初からの発注者指定型、276件(65%)が契約後に受注者の意向で試行を実施(契約後に発注者指定型に指定)しており、発注金額でみると1億円以上の工事が92%を占める。
試行工事のフォローアップ(受注者アンケート結果)では、遠隔臨場による「段階確認」、「材料確認」、「立合」は待ち時間の短縮など有効であり、来年度以降も遠隔臨場の実施を希望する受注者が97%だった。また、配筋の出来形確認、掘削工における土質変化の段階確認などの一部では、遠隔臨場のカメラでの確認が困難のため、従来通り現地立ち合いによる確認が必要な工種も存在することが確認された。
これらの試行結果を踏まえ、22年度の試行方針として、本官工事は発注者指定型で試行し、分任官工事は発注者指定型で試行する工事発注規模を3億円以上から1億円以上に見直す。なお1億円未満の工事は、立会頻度が多い工事など遠隔臨場の効果が期待できる工事について事務所長が発注者指定型に指定して試行し、その他の全ての工事についても受注者へ意向を確認して発注者指定型で試行を実施する。
対象工事 (営繕関係、港湾空港関係を除く)として、本官工事は原則、全ての工事で「発注者指定型」で試行を実施する。分任官工事は原則、工事発注規模1億円以上の工事で「発注者指定型」での試行を実施。工事発注規模1億円未満の工事も、「発注者指定型」で積極的に試行を実施する。その他の全ての工事については、受注者へ意向確認し、受注者の意向が有れば「発注者指定型」で試行する。
「発注者指定型」は、試行にかかる必要な費用の全額を発注者が負担する方式。費用は受注者から見積を徴収し、試行にかかる全額を技術管理費に積み上げ計上し設計変更する。なお、遠隔臨場が適さない工種・項目は通常の「現場臨場」を行うものとし、全ての工種・項目で遠隔臨場を実施する必要はない。
試行内容は、映像で確認出来る工種・項目についてウェアラブルカメラなどと「パッケージ化されたシステム」、「情報共有システム(ASP)」、「ウェブ会議システム」などの配信システムを利用して「段階確認」、「材料確認」と「立会」を実施し、映像で確認出来ない工種・項目は通常の「現場臨場」を実施する。
試行後は、受注者や監督職員を対象としたアンケート調査などを実施し、試行を通じた効果の検証、課題の抽出などのフォローアップを実施していく予定としている。