県県土整備部 技能者の処遇改善へ CCUS活用工事 10日から試行を開始

[2022/1/12 栃木版]

 県県土整備部は、同部が発注する建設工事における建設技能者の処遇改善と現場の生産性向上を図るため、「県県土整備部建設キャリアアップシステム活用工事試行要領」を制定して10日から施行した。CCUS活用工事は、技能・経験に応じた適切な処遇改善による担い手確保、および技能者の雇用・育成に取り組む企業の成長を図ることが目的。同部の発注する全ての工事を対象に受注者希望方式を採用し、目標基準を全て達成した場合には工事成績評定に1点を加点する。

 建設キャリアアップシステムは、技能労働者が有する資格や現場の就業履歴などを登録・蓄積することによって、技能労働者がその技能と経験に応じた適正な評価と、給与の引き上げなどの適切な処遇が受けられ、さらに若い世代にキャリアパスや処遇の見通しを示すことで将来の担い手確保につなげることを目的につくられた制度インフラとなる。

 2019年10月18日に閣議決定された「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」に制度の活用促進を図る旨が明記され、建設業協会など業界団体からも早期導入を要望されていた。

 このため県では今回、設業の働き方改革および生産性向上を図るためCCUS活用工事を試行的に導入する。公共工事の発注者として、制度の活用に向けた環境整備を進めることで、元請事業者による現場登録とカードリーダーの設置や、施工に参画する下請事業者と技能者による現場での活用を促進していく。

 栃木県版CCUS活用工事は、建設キャリアアップシステムの活用目標を定め、達成状況に応じて工事成績で加点する工事を受注者希望方式で試行する。対象工事は、県土整備部が発注する全ての工事とし、入札条件書などでその旨を明らかにする。

 対象工事で、受注者が現場着手前に発注者に対してCCUSの活用に取り組む旨を希望した場合、発注者は目標基準を全て達成するとともに、参考指標に示す指標値を確認できる書類を提出すれば、工事成績評定に基づく工事成績評定点に加点する。

 達成基準は、国交省指標への移行を見据え、試行期間では▽元請企業および1次下請企業の登録事業者率50%以上▽カードリーダータッチ率50%以上▽平均登録事業者率・平均登録技能者率・平均就業履歴蓄積率の資料提出(国交省指標に準じる)-の基準を全て達成した場合、工事成績評定の「創意工夫」で1点を加点する(未達成罰則は無し)。

 なお、モデル工事等工事評定での加点を実施している自治体は、1月時点で本県のほか宮城、群馬、埼玉、福井、岐阜、三重、岡山、愛媛、宮崎、鹿児島の計11県となっている。

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