県内配分は約273億円 渡良瀬川下流築堤など 関東地方整備局関係補正予算の概要
[2021/12/22 栃木版]
本年度の国の補正予算が20日の参議院本会議で自民・公明両党などの賛成多数で成立したことを受け、国交省関東地方整備局は関係予算の概要を明らかにした。事業費は直轄が721億8800万円、補助・交付金が3065億5300万円の計3787億4100万円。このうち、国庫債務負担行為(ゼロ国債)は37億9600万円となる。本県への配分は、直轄と補助をあわせて治水20億4700万円、道路44億5400万円、市街地整備23億7400万円、社会資本総合整備184億1900万円の合計272億9300万円。主な事業には、渡良瀬川下流の築堤や那珂川の緊急治水対策プロジェクト、国道4号矢板大田原バイパスの調査設計や同西那須野道路の歩道橋工事、宇都宮駅東口での「地域交流センター」および「交流広場」整備などを予定する。
2021年度の国土交通省関係補正予算は、▽新型コロナウイルス感染症の拡大防止▽「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え▽未来社会を切り拓く「新しい資本主義」の起動▽防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保-の4つの柱について、所要の経費を計上。また公共事業の効率的な執行のため、いわゆる「ゼロ国債」(当該年度の支出はゼロだが、年度内に契約発注が可能)が設定された。
関東地方整備局関係補正予算としては、「未来社会を切り拓く『新しい資本主義』の起動」と「防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保」の柱について、3787億円が配分された。これらの配分に当たっては、地域の実情や地方公共団体の要望などを勘案しつつ、高い緊急性と効果が認められる事業に重点をおいている。
事業費の内訳は、「新しい資本主義」が直轄113億4100万円、補助・交付金727億0200万円の計840億4300万円、「防災・減災、国土強靱化」が直轄571億4300万円、補助・交付金2337億5900万円の計2909億0200万円。また、ゼロ国債が直轄37億0400万円、補助・交付金9200万円の計37億9600万円となる。
直轄事業の内訳を見ると、治水が249億7300万円、道路が286億6700万円、都市水環境整備が4億2800万円、国営公園等が26億5300万円など。補助事業では、治水が177億4900万円、道路が388億2400万円、市街地整備が440億5600万円、社会資本総合整備が2055億1400万円などとなる。
補助事業の都県別配分額で、栃木県は「新しい資本主義」に関して市街地整備6600万円、社会資本総合整備35億8100万円の計36億4700万円を配分。「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」では、治水20億4700万円、道路44億5400万円、市街地整備23億0800万円、社会資本総合整備148億3800万円の計236億4600万円が配分される。
主な事業を見ると、河川は直轄で渡良瀬川下流の築堤や鬼怒川の侵食対策、那珂川の緊急治水対策プロジェクトによる河道掘削などを実施する。また補助事業は、秋山川で河川激甚災害対策特別緊急事業による重点的・集中的な掘削、築堤などに取り組む。
道路は、直轄で国道4号矢板大田原バイパスの調査設計、同西那須野道路で電線共同溝工事や歩道橋工事などを、補助事業で都市計画道路3・2・101号大通り(駒生町工区)の道路改良工事および電線共同溝工事などを実施する。
都市住宅の補助事業では、宇都宮都市拠点地区の都市構造再編集中支援事業として、宇都宮駅東口に「地域交流センター」および「交流広場」を整備する。
21年度補正予算における本県の主要事業の概要は次の通り。(▽路線名、事業(地区)名=補正予算の事業概要)
【河川】
〈直轄〉
▽利根川水系渡良瀬川下流、河川改修事業=流域治水の一環として、5か年加速化対策により築堤等を実施し、早期に地域の安全性の向上を図る。
▽利根川水系鬼怒川、河川改修事業=流域治水の一環として、5か年加速化対策により侵食対策等を実施し、早期に地域の安全性の向上を図る。
▽利根川水系男鹿川、堰堤維持=ダムの重要インフラに係る老朽化対策により、監視設備等の更新を実施。洪水調節容量の維持・確保のため、堆砂対策等を実施。
▽利根川水系(鬼怒川)、砂防事業=土砂・洪水氾濫発生の危険性が高い渓流等における対策として、砂防堰堤等の整備を実施。
▽那珂川水系那珂川、河川大規模災害関連事業(那珂川緊急治水対策プロジェクト)=那珂川水系において、河道掘削等を実施し、早期に地域の安全性向上を図る。
〈補助〉
▽利根川水系秋山川、河川激甚災害対策特別緊急事業=令和元年東日本台風に伴う豪雨出水により発生した浸水被害への対応として、重点的・集中的に掘削、築堤等を実施。
【道路】
〈直轄〉
▽国道4号、矢板大田原バイパス=災害時においても速やかに緊急車両や一般車両の通行を確保するため、調査設計を実施することで、道路ネットワークの機能強化を推進。
▽国道4号、西那須野道路=災害時においても速やかに緊急車両や一般車両の通行を確保するため、改良工事、電線共同溝工事及び歩道橋工事を実施することで、道路ネットワークの機能強化を推進。
▽国道4号、下野市薬師寺電線共同溝=電柱倒壊による道路閉塞等の被害を防止するため、市街地等の緊急輸送道路の無電柱化を推進。
▽国道4号、維持管理=定期点検等により確認された修繕が必要な道路施設の修繕を実施し、老朽化対策を推進。
〈補助〉
▽都市計画道路3・2・101号大通り(駒生町工区)=災害時においても速やかに緊急車両や一般車両の通行を確保するため、補正予算の充当により、都市計画道路大通りの道路改良工事及び電線共同溝工事を実施することで、道路ネットワークの機能強化を推進。
【都市住宅】
〈補助〉
▽都市構造再編集中支援事業、宇都宮都市拠点地区=地区内で実施する宇都宮駅東口整備事業において、市民相互の交流を目的とした高次都市施設である「地域交流センター」及びイベントの開催など多様な都市活動の促進を目的とした地域生活基盤施設である「交流広場」を整備。