基本計画の予算要求 市立柏病院を建て替え(柏市)
[2021/12/10 千葉版]
柏市の太田和美市長は、市議会定例会の一般質問で、柏市立柏病院の現地建て替えに向け、担当部署で検討を開始したことを明らかにした。基本構想にあたる「市立柏病院のあり方」(2018年3月策定)をふまえ、基本計画の策定に着手にする方針だ。2022年度当初予算案に、基本計画の策定業務委託料を要求している。
市立病院の現地建て替えについて、太田市長は、病院を運営しながら進める必要があるほか、敷地は広いものの空地が少ないなど建築上の課題があることを指摘。「他病院の整備状況や病院の整備運営に関する外部の知見を活用しながら、利用者にとってより良い医療環境が提供できる病院が整備できるよう取り組みたい」と答弁した。
また、コロナ禍で一般病床をコロナ専用病床に転用するなど、平常時ではない対応が迫られていることから、柏市健康福祉審議会から示された病床稼働率80%の目標達成を建て替えの条件とはしないことをあらためて表明。「継続的な経営改善の取り組みを進めていきたい」と述べた。
柏市立柏病院の整備については、12年度に中期構想を、13年度に整備基本方針を策定。14年に秋山浩保前市長が、柏の葉地区への移転建て替えを表明したものの、市民から合意が得られず、16年3月に白紙撤回、病院のあり方を再検討する考えを表明した。
その後、柏市健康福祉審議会の市立病院事業検討専門分科会で市立柏病院のあり方について審議。17年8月、「市立柏病院のあり方」に関する答申をとりまとめた。
同答申をもとに18年3月に策定した「市立柏病院のあり方」では、建設費を約107億円に抑え、病床利用率が80%以上で推計した場合、経常損益は黒字となり、新病院の減価償却費などの負担に対応できるとしている。
これを受け、秋山前市長は、病床稼働率80%の目標達成に向け経営改善に努める一方、建て替えについては感染症が収束した段階で判断したいとしていた。
公設民営の柏市立柏病院は、国から旧国立病院の譲渡を受け1993年7月に開院。敷地面積は3万3620平方m。外来管理治療棟(5255平方m)や病棟(4323平方m)、サービス棟(997平方m)のほか、医師宿舎、看護婦宿舎、院内保育所、別棟プレハブ事務所で構成。また、関連施設として「柏市立介護老人保健施設はみんぐ」を整備、運営している。
公益財団法人柏市医療公社による、現行の指定管理期間は23年3月末まで。23年4月以降の指定管理者は22年度に募集、選定する。
中期構想策定事業委託(12年度)と基本方針策定業務委託(13年度)はパシフィックコンサルタンツ、あり方検討支援業務(16年度)はシステム環境研究所が担当した。