県河川課 来年度から改修着手 栃木市内の巴波川 平成橋下流9.2kmで

[2021/11/20 栃木版]

 県河川課は2022年度から、安全な川づくり事業で一級河川巴波川の小山市下河原田地先から栃木市沼和田町地先まで、延長9.2kmの河道掘削に着手する。この河川は、直近5カ年で2回の大規模な浸水被害が発生しているため、国道50号新巴波川橋から荒川合流点まで早期に治水安全度を向上させる。主な工事の内容は、築堤や掘削、護岸工をはじめ、橋梁2橋と堰4基、排水樋管2基を計画し、総事業費は約22億円。スケジュールによると、22年度から測量・詳細 巴波川は、栃木市西方町本城地先から栃木市および小山市を流下し、渡良瀬遊水地に合流する流域面積218平方km、管理延長16.3kmの一級河川。1932年から河川改修事業に着手し、これまでに当該区間を含む県管理区間下流端からJR両毛線鉄道橋までの区間で築堤・河道掘削などの整備が完了している。また88年以降は、栃木環状線蟹田橋から一級河川上流端までの区間で河道掘削や調節池などの整備を進めている。

 しかしながら、栃木市の中心市街地で平成27年関東・東北豪雨の際に浸水面積171ha、床上浸水732戸、床下浸水988戸、さらに令和元年東日本台風で浸水面積218ha、床上浸水1217戸、床下浸水996戸に及ぶ大規模な浸水被害が発生。そのため県は、国道50号新巴波川橋から荒川合流点までの区間で浸水被害の軽減を図るため、栃木・小山線平成橋より上流は地下捷水路、下流は河道掘削などの整備を実施する。

 このうち平成橋上流の区間は、資産が集中し極めて整備が急がれることから、2020年度から河川激甚災害対策特別緊急事業で先行着手している。しかしながら、平成橋下流区間の整備完了までは暫定的な供用となるため、下流の区間も事業に着手して、両区間を一体的に整備することで地下捷水路を本供用させ、栃木市街地の浸水被害の軽減を図る。

 事業計画によると、計画規模は30分の1(概ね30年に一度の割合で発生する洪水流量を目標にする)とし、河道計画流量は下流側の新巴波川橋から愛宕橋までが1秒あたり220立方m、愛宕橋から上流側の平成橋までが同じく150立方m。計画河床勾配は430分の1から700分の1とする。

 整備にあたっては、過去の整備で必要な用地の取得が済んでいることから、現状の川幅内での河道掘削や、現河川の法線を生かした築堤によって流下能カの増大を図る。また、多自然川づくりによる整備を基本とし、生物の生息・生育・繁殖環境の保全や景観にも配慮する。

 整備内容は、築堤が7000立方m、河道掘削が6万立方m、護岸工が2500平方mのほか、橋梁2橋と堰4基、排水樋管2基を整備する。総事業費は約22億円で、内訳は測量設計費が約3億円、用地補償費が約1億円、工事費が約18億円。財源の内訳は、国費と県費各50%とする。

 事業にあたっては、建設発生土を築堤材として活用するほか公共工事間流用に努め、建設コストの縮減を図る。また、主要構造物の設計にあたって新技術の採用を検討しコスト縮減を図るとともに、ICT施工によって工期の短縮や生産性の向上を図る考えだ。

 なお、大規模な浸水被害が生じた栃木・小山線の平成橋より上流は、整備が急がれるため20年度から地下捷水路整備に先行して着手した。この区間は栃木市中心部を流れ狭さく部となっていることから、水量を調整するため地下トンネルによる土被り約10mのバイパス(φ5.5m)を県管理道路下に整備する。

 区間は大町地先の荒川合流点下流から沼和田町地先の平成橋下流までの2.4kmで、本年度は詳細設計を実施するほか用地取得に着手する。このほか、上流部に当たる大町工区では調節池の整備を継続。また市街地の堤防強化対策を見据え、沼和田町地先では取水施設設計、嘉右衛門町地先では堤防嵩上設計や工事を実施する。

 スケジュールによると、22年度は地下捷水路に着工するため施工業者選定し、23年度から本格的に工事を進めて25年度の完了を目指す。設計と用地調査・取得におよび工事に着手し、31年度までの10カ年で整備する。

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