県気候変動対策課 30年度に排出量半減 CN実現会議 目標と具体的対策示す
[2021/11/17 栃木版]
県気候変動対策課は16日、県公館で第2回「とちぎカーボンニュートラル実現会議」を開催した。今回は事務局からロードマップ案を示して、各分野の構成員から意見を聴取した。それによると、CO2排出の削減目標は基準となる13年度から30年度にはマイナス50%とし、この目標達成に向けて産業・交通・業務・家庭の各分野で太陽光発電設備や省エネ設備の導入促進、電動車の充電設備整備などに取り組むほか、吸収源分野でも木造住宅や中大規模木造建築物の建設推進などに取り組んでいく。同課では、今回示された意見も踏まえて来年1月にもパブリックコメントを実施し、県民からの意見も参考にして年度内にロードマップを策定・公表する予定としている。
福田富一知事は昨年12月、温室効果ガスの排出量を森林の吸収量と均衡させる「カーボンニュートラル」の2050年実現を宣言した。二酸化炭素の排出を実質ゼロにし、脱炭素社会の実現を目指すため、県内の様々な団体の意見を聴取して、具体的な施策をまとめたロードマップを年度内にも作成する。
会議には県や市町村の行政をはじめ、経済団体や製造、物流、交通、住宅、金融の各業界団体、消費者団体、活動団体、メディア、有識者・高等教育機関の代表者が参加。また電気事業者の東京電力、ガス事業者の東京ガスも参加している。
議事を前に、会長の福田知事はこのほど閉会したCOP26など気候変動に関する最近の動向を説明し、「本県では2050年の温室効果ガス排出実質ゼロの実現を目指し、30年の排出量について13年度比マイナス50%と、国を上回る削減目標を掲げて取り組むこととした」と明らかにした。
続けて「目指すべき方向は、単に早期削減で気候変動の影響を最小限化することに留まらず、ものづくり県、木材生産県といった強みを活かして脱炭素を機に県内産業が成長していくこと、また地産地消の再生可能エネルギーを最大限導入していくことで経済と環境の好循環を生み出し、持続可能で力強いとちぎを構築していくこと」と話し、ロードマップ案に対する率直な意見を求めた。
このあと、事務局から「2050年とちぎカーボンニュートラル実現に向けたロードマップ」(案)を説明。それによると、県民と事業者、行政が「オールとちぎ」となって、産業・交通・業務・家庭の各分野でエネルギー消費の抑制や地産地消型再生可能エネルギーの導入拡大を図り、30年度には基準年の13年度から温室効果ガス50%の削減、さらに50年度にはカーボンニュートラルの実現を目指す。
県の30年度のCO2排出(削減)目標は、13年度から「産業分野」がマイナス42%、「交通分野」がマイナス46%、「業務分野」がマイナス68%、「家庭分野」がマイナス72%とし、「非エネルギー由来」のCO2も23%削減する。
この目標達成に向け、産業分野では「化石燃料使用設備の転換」や「省エネと創エネによる事業継続対策の強化」、「脱炭素化の動きを捉えた産業の成長」を主な取り組みの柱とする。県は中小企業への省エネ設備の導入や化石燃料使用設備の転換を促進するほか、工場・事業場への太陽光発電導入を促進して製造業の2割に導入することなどに取り組んでいく。
交通分野では、「ガソリン車から電動車への転換」や「渋滞対策や輸送効率化などの推進」、「公共交通機関や自転車の利用拡大など」を主な取り組みの柱とする。県は渋滞対策や交通管制システムの高度化をはじめ、電動車の充電器などのインフラ整備を促進し、30年度にはEV急速充電器を500基、水素ステーションを3基整備する目標を掲げた。
業務分野は、「省エネと創エネによる建築物のゼロエネルギー化(ZEB化)の推進」と「脱炭素型の働き方(ワークスタイル)への転換」に取り組む。ビルなどへの太陽光発電導入を促進し、30年度には事業所の1割に導入を目指すほか、中小企業への省エネ設備の導入やエネルギー転換を促進していく。
家庭分野でも、「省エネと創エネによる住宅のゼロエネルギー化(ZEH化)の推進」と「脱炭素型の生活様式(ライフスタイル)への転換」に取り組む。30年度には住宅の4分の1に太陽光発電を導入することを目指すほか、住宅の断熱化や省エネ化にも取り組んでいく。
また、非エネルギー分野では「工業プロセスなどにおける対策の強化」と「環境保全型農業の推進」、「使い捨てプラスチック使用削減によるゴミの減量」を、吸収源分野では「森林整備の推進(=CO2吸収)」と「とちぎ材の利用拡大(=CO2貯蔵)」「木の役割を再認識する機運の醸成」を、それぞれ主な取り組みの柱とする。