県交通政策課 停留所を6カ所新設 無人自動運転実験 小山市で来年1月に
[2021/11/9 栃木版]
県交通政策課はこのほど、2021年度第2回の県無人自動運転移動サービス推進協議会をオンラインによるウェブ会議で開催した。今回は、小山市実証実験の実施概要について事務局から説明し、意見交換を行った。小山市は22年1月中下旬の2週間程度、白鴎大学のスクールバス路線をベースとする片道約1.8kmで実証実験を実施する計画。区間内には既設4カ所、新設6カ所の停留所を設けるほか、2カ所の交差点で路車協調支援の取り組みを実施する予定となっている。
県交通政策課では、運転免許証を自主返納する高齢者の増加をはじめ、公共交通の担い手不足などの課題解決に向けて、県内バス路線で2025年度に自動運転バスを本格運行できるよう、20年度から23年度までの期間、「栃木県ABCプロジェクト」として自動運転バスの実証実験を進めている。
実験にあたり、県内各地域の特性に応じて公共交通機関への自動運転システムの導入を促進し持続可能な公共交通サービスを提供するため、「県無人自動運転移動サービス推進協議会」を設置。委員には県内の公共交通事業者や公共交通関係団体、自動車関連企業、学識経験者などが参画し、オブザーバーとして国交省の栃木運輸支局や宇都宮国道事務所、県の道路保全課や警察本部交通企画課も参加する。
本年6月には、プロジェクトの第一弾として市街地の周遊性向上や高齢者の移動手段確保に向けた検証を行うため、中山間地域の茂木町で自動運転バスの実証実験を実施した。本年度はこのほか、観光地の那須塩原市と壬生町、市街地の小山市で実証実験の実施を予定している。
今回の協議会ではこのうち、小山市の実証実験の実施概要について事務局から委員に説明した。小山市は、市街地の周遊性向上や通学手段の確保を目的に、小山駅から白鴎大学までの区間で実験を行う。主要拠点は小山駅、市役所、城山公園、白鴎大学などで、想定車両は中型バスとする。
ルート選定の背景には、白鴎大学の大行寺キャンパスと小山駅西口間でスクールバスを運行しているほか、城山公園は再整備が進められており、小山駅周辺のまちづくりと連携した市街地の周遊性向上が期待できる。また、本年5月に開庁した新庁舎と小山駅との間でバス運行の要望があるが、運転手確保が困難なこともあるため、市街地での自動運転バスの導入可能性を検証する。
実験車両は乗客人数11人で調整中で、走行速度は最高時速40キロ。自動運転はレベル2とし、緊急時は同乗のドライバーが介入する。運行ルートは、白鴎大学のスクールバス路線をベースとする片道約1.8kmの区間で、ルート上には計10カ所の停留所(既設4カ所、新設6カ所)を設置する予定。ルート上の2カ所の交差点で、路車協調支援の取り組みを実施する予定となっている。
路車協調支援は、(仮称)国道4号交差点で信号機制御と実験車両を通信連携させてスムーズで安全な交差点通過を支援し、(仮称)白鴎大学入口交差点では道路にセンサを設置して実験車両と通信連携し、歩行者や自転車の情報を提供してスムーズで安全な交差点通過を支援する。
今後のスケジュールは、これまでの概要検討や地元協議を経て、11月から実験準備に着手するとともに警察など関係機関と協議を進める。12月には参加者を募集し、22年1月中下旬の2週間程度で実施する予定だ。
県交通政策課によると、実証実験は本年6月の茂木町をはじめ、23年度までに10カ所で実証実験を実施する計画。本年度は茂木町や小山市のほか、那須塩原市と壬生町の計4カ所で実施を予定する。那須塩原市の那須温泉郷では観光地の二次交通充実や周遊性向上を、壬生町の「道の駅みぶ」では公園などのアクセス向上と周遊性向上などを検証する計画で、壬生町は22年2月末から3月ごろにも、那須塩原市は運行するバスの手配が付き次第、早期に実施する方針となっている。
また、22年度には中山間地域の那須町(黒田原駅周辺)と観光地の宇都宮市(西川田駅~県総合運動公園)、市街地の足利市(足利学校周辺)で、23年度には観光地の日光市(奥日光低公害バス路線)と市街地の下野市(自治医大駅~自治医大病院)、芳賀町(芳賀工業団地)で実施する見通し。さらに那須烏山市や栃木市、真岡市も、追加の候補箇所に挙がっている。