海老川248億円概算 二級河川4水系で流域治水プロジェクト
[2021/11/9 千葉版]
県内の二級河川のうち海老川、都川、南白亀川、作田川4水系について、流域治水プロジェクトを策定した。県と関係市町村が一体となってハード対策やソフト対策に取り組む「流域治水」を推進するもので、海老川水系では、河道の拡幅や調節池の整備などで248億4000万円を概算している。
県内の二級水系は60水系あることから、効率的に流域治水を推進するため、河川の流域特性を踏まえ、県内を4圏域に分割して流域治水協議会を設置し、対策を進めていく。
海老川水系については、県や千葉市、市川市、船橋市、習志野市、鎌ケ谷市、浦安市で構成する東京湾北部圏域流域治水協議会で、早急に実施すべき流域治水の全体像を示す「流域治水プロジェクト」の策定作業を進めた。
2019年10月豪雨をはじめとする近年の激甚な水害や気候変動による水害の激甚化・頻発化に備え、海老川水系において、ハード・ソフト一体となった事前防災対策を加速する。年超過確率10分の1(時間雨量約50mm)規模の洪水を安全に流下させ、流域における浸水被害の軽減を目指す。
プロジェクトは▽氾濫をできるだけ防ぐ・減らすための対策▽被害対象を減少させるための対策▽被害の軽減、早期復旧・復興のための対策──でとりまとめている。
ハード対策としては、河道の拡幅、河床の掘削、調節池の整備、堆積土の撤去、河川護岸の老朽化対策、学校の校庭を活用したオンサイト貯留、排水機場の老朽化対策、公共下水道(雨水)の整備、雨水貯留浸透施設の設置、自然地の保全、透水性舗装などを計画している。
ロードマップをみると、短期では、河川対策として、土地区画整理事業に合わせて飯山満川の河道拡幅を進めるとともに、海老川調節池の本格施工に着手する。海老川、飯山満川、長津川で堆積土撤去を実施する。
中期では、飯山満川の上流区間について河道拡幅を推進するとともに、海老川調節池の貯留効果を早期に発現するため、段階的な暫定供用を目指す。必要に応じて、堆積土を撤去する。
中長期では、引き続き、飯山満川の河道拡幅、海老川調節池の整備、海老川の河床掘削を進め、海老川水系全体の整備完了を目指す。
このほか、流域の市街化率が8割を超えている状況を踏まえ、海老川排水機場や都疎浜ポンプ場、宮本ポンプ場などで老朽化対策を計画している。併せて、マイ・タイムラインや避難確保計画の作成支援などのソフト対策を推進する。
流域治水プロジェクトは、水系ごとに策定することを基本とし、流域治水協議会での協議を踏まえ、ほかの水系についても順次策定していく予定だ(都川、南白亀川、作田川3水系の流域治水プロジェクトは後日掲載予定)。