CCUSの取組を共有 北海道・東北ブロックで初会合(国や自治体、業界団体など)

[2021/10/29 宮城版]
 公共工事におけるCCUSの活用・普及促進に向けた北海道・東北ブロック連絡会議が27日、初めて開かれた。ウェブでの開催となり、国土交通省や東北6県、北海道と東北6県の建設業協会などが参加。北海道や各県、仙台市におけるCCUSモデル工事などの取り組み状況を確認し、情報共有した。宮城県は来年度からCCUSを活用した工事実績に加点評価する方向で検討している。

 会合には国交省不動産・建設経済局、北海道開発局、東北地方整備局、北海道、東北6県、仙台市、北海道と東北6県の建設業協会、日本建設業連合会、全国中小建設業協会、建設業振興基金などが参加。CCUSの普及促進に向けた国や自治体、業界団体の取り組み状況を報告し合った。

 あいさつで東北地方整備局の稲田雅裕局長は、CCUSについて「若い世代にキャリアパスと処遇の見直しを示し、技能と経験に応じた給与の引き上げを目指すもので、中長期的な建設業界の技能者の担い手確保や処遇改善に必要不可欠な取り組み」と述べ、CCUSの普及促進に向け官民挙げて取り組む意向を表明。今回の連絡会議が「CCUSの取り組みを加速化させていくための重要な会議」との認識を示した。

 同局のCCUSモデル工事の取り組みに関しては、本年度から「全てのWTO一般土木工事を対象として義務化モデル工事2件、活用推進モデル工事4件の発注手続きを進めている」と紹介。WTO以外の一般土木C等級を対象としたモデル工事も宮城と福島で実施予定であることを伝えた。

 国交省によると、全国におけるCCUSの登録状況は9月末時点で技能者が69万2511人、事業者が13万9169社。年度内には80万人に達するペースで増えており、技能者の4人に1人が利用する水準になる。

 北海道・東北ブロックにおける自治体の取り組み状況を見ると、CCUSモデル工事を発注して活用にインセンティブを与えているのは宮城県、福島県、仙台市のみ。北海道や他の4県は検討中の段階。

 宮城県は工事成績調書や総合評価で加点評価している。本年度は総合評価の加点対象となった会社が174件に上るなど、全国的に見ても突出して取り組みが進んでいる。

 来年度からは総合評価の評価項目に、CCUS活用の工事実績を追加する予定。本年度は入札者がCCUSに登録済み(事業者登録)であれば加点評価しおり、来年度からは登録に加えて活用実績も評価する、もしくは登録に代えて活用実績のみを評価することなどを検討しており、配点も含めてこれから決める。

 宮城県建設業協会は、会員の3分の2が登録を済ませていることや、未登録の会員企業には登録に向けた支援に取り組んでいることなどを報告。

 他県の建設業協会からは、登録費用やカードリーダーの設置費用を積算で計上する、もしくは助成してほしいという意見が出された。国交省は、カードリーダーに対する厚生労働省の補助金があることを紹介。さらに厚労省は22年度予算の概算要求で、新規にCCUS等普及促進コース(仮称)の事業費を求めており、これが認められれば登録料まで含めて補助されることを伝えた。

 会合ではこのほか▽建退共の電子申請化とCCUSとの連携▽カードタッチの蓄積ポイントを電子マネーに還元▽小規模現場における顔認証での履歴蓄積――などの取り組みを確認した。

 国交省は今後、年度内に東北管内の直轄のCCUSモデル工事現場で見学会を開催する予定。現場見学会を踏まえた意見交換の開催も年度内に開くことを目指している。

 ★建設キャリアアップシステムとは=技能者の資格や現場での就業履歴、社会保険の加入状況などといった情報を登録・集積し、技能・経験に応じた適切な処遇につなげる仕組み。技能者にはカードを交付し、現場入場の際にカードリーダーなどで読み取ってもらう。

■宮城県によるCCUS推奨・義務化工事等の概要
2020年度 CCUS活用モデル工事 2021年度 CCUS推奨工事 2021年度 CCUS義務化工事
対象工事 土木部が発注する工事のうち、発注機関が選定するSまたはA等級相当の工事を対象(35件) 土木部が発注する全工事
(営繕工事も含む)
土木部が発注するS等級工事のうち、発注機関が指定する工事(34件)
実施条件 発注時に特記仕様書および入札公告に記載されていること
工事契約後、速やかに活用希望の有無について発注者に報告し、施工計画書に記載すること
発注時に特記仕様書および入札公告に記載されていること
契約締結後30日以内に「CCUS活用通知書」を提出すること
費用負担 全額受注者負担 カードリーダー設置費用と現場利用料を清算変更時に実績に基づき、積み上げ計上(これ以外は受注者負担)
工事成績考査 基準達成した場合、加点あり
減点なし 減点あり
評価基準 県独自
その他 アンケート実施 PR看板を設置

 

■宮城県と仙台市におけるCCUSモデル工事等の状況
 
インセンティブ 件数 CCUSの利用状況
事業者
登録数
技能者
登録数
就業
履歴数
 工事評定での加点

総合評価での加点

義務化工事:11件実施
(2021年度)
総合評価加点:174件
3351 2万2821 7万1432
仙台市 総合評価での加点 80件
(落札者の加点有57件)
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※利用実績は2021年9月末現在の値、就業履歴は9月単月の実績

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