「コンパクトシティ」目指す~人口減阻止へ各種施策展開(白子町・石井和芳町長インタビュー)
2021年6月の町長選で、これまで7回の無投票が続き、28年ぶりとなった新町長就任のニュースは、ネット上でも拡散され、全国で話題となった。その選挙戦を制し、新たに町民の思いを受け止めることとなった、白子町の石井和芳町長(70)に話を聞くことができた。
──町長就任に当たって
石井町長「懸案事項はいっぱいあって、休まる暇もないという状況です。ほかの自治体もそうですが、町の人口減少を少しでも減らすのが課題です」
──その課題については
「白子町も高齢化が進み、推計では2045年には人口が半減してしまう。その阻止に向け、いわゆる住みやすいまちづくりに向けた『コンパクトシティ構想』を打ち出しました。中心市街地がないこの町で、今後整備が計画される「茂原白子バイパス」沿いに住宅地や工業施設、商業施設などの各ゾーンを作り、施設を作れればと思っています。
そのためには町の総合計画や都市計画の変更を進めていく必要があり、これらを一つ一つ進めていく必要があります。若い人が住めるところを確保しなければいけません」
──各施策の展開は
「町も行政改革とともに、機構改革を進める考えで、現在の総務課を、総務部門や企画部門に分けることを考えるなどしています。他の自治体や一般企業でも社長の下に直轄してありますが、心臓部となる企画担当を置いて機能の強化を図ります。このほか、福祉系部署なども住民ニーズに合う形に作り変えていくつもりです。
コンパクトシティ構想ですが、企業を誘致する場所も必要です。町に立地する中小企業ですが、長生郡市の町村内では比較的優良企業が多い。現在の就業人口が約3,000人で、これを1,000人増やすことを目標とし、これに伴って人口も増え、町も発展していく。このために商工業用のゾーンを増やしていかねばなりません。既存企業の発展とともに、新規に立地を検討する企業にも進出してほしいです」
──ハード事業について
「今の町庁舎は、耐震基準をクリアしていません。耐震化するにしても大変な事業ですから、自己財源も限られる中、バイパス沿いに構想する行政エリアへの移転も今後検討していきます。今の場所は海抜も低く、津波による被災の懸念もあり、防災拠点としては問題があります。
また、海岸沿いにある国民宿舎白子荘については、施設が老朽化しているとともに、指定管理者による管理が来年3月で終わることから、廃止・解体後の跡地の再開発も検討します」
──今後については
「総合計画の変更を含め、施策実現は今の任期中(4年)ではできませんが、やろうと思わなければ変えられません。でも何より人口減少を抑えないとどうしようもないので、そのための施策を進めていくつもりです」
■石井和芳町長プロフィル
1951年4月同町生まれ。75年日本大学卒業後に千葉興業銀行に入行。同行で執行役員も務めながら、2015年に同町会議員選で初当選。2期目途中となる21年6月の町長選を制し、町長に就任した。