8件全て継続「妥当」 公共事業の再評価 護岸見直しで事業費増 県公共事業評価委
[2021/10/05 栃木版]
県公共事業評価委員会(委員長・山岡暁宇都宮大学地域デザイン科学部教授)は4日、県庁舎内の会議室で本年度第1回の委員会を開き、「一級河川田川」や「一級河川武名瀬川」など8件の河川事業の再評価を実施した。県は田川と武名瀬川について、護岸の構造の見直しや労務資材単価の増加などで事業費が大幅に増加すると説明。審議の結果、委員から全ての事業について継続が「妥当」と判断された。
議事を前に、県県土整備部の田城均部長は「これまで以上に効率的・効果的な事業展開を図っていきたい。委員からの幅広い意見を事業に反映して、より確実にしていきたい」とあいさつ。委員長に選任された山岡委員長は「この委員会の重要性は、1つは災害に対応した計画の見直しの必要性、1つは県民に対する情報公開、もう1つは長期化する公共事業をPDCAでチェックする必要性」と話し、委員に忌憚のない意見を求めた。
「一級河川田川」については今回、全体事業費が17%増加したことから個別審議の対象となった。増加の理由は、平成27年9月関東・東北豪雨の被災に伴い護岸を連節ブロックからより堅固なコンクリートブロック張に見直したことと、労務資材単価や消費税増税によるもの。
護岸構造の見直しでは事業費が2.8億円増加し、労務資材単価や消費税増税では0.9億円増加。これにより、全体事業費は21.3億円から25億円に3.7億円増加した。なお、進捗率は事業費ベースで66%となっており、2026年度の事業完了を目指す。
「一級河川武名瀬川」も、全体事業費が14%増加したため個別審議を行った。事業費増加の要因は、田川と同じく護岸の構造の見直しと、労務資材単価や消費税増税によるもの。当初の土羽護岸が平成27年9月関東・東北豪雨で被災したため、市街地近接区間をコンクリートブロック積に変更し、これと併せて法勾配も変更した。
護岸構造の見直しでは事業費が7億円増加し、労務資材単価や消費税増税では0.9億円増加したことで、全体事業費は61.3億円から70億円に8.7億円増加した。なお、進捗率は事業費ベースで59%となっており、26年度の事業完了を計画する。
このほかの6河川事業は、一括審議を行った。このうち「一級河川思川」は、河床変動に伴う河道掘削量の増加や労務資材単価の上昇などで全体事業費が9%増加し、「一級河川熊川」も安全性を確保するための護岸工の施工面積の増加や労務資材単価の上場などで全体事業費が8%増加した。「一級河川矢場川」は、事業用地取得の遅延で計画事業期間を21年度から26年度に延伸している。
再評価を行った案件は次の通り(▽事業名=①事業採択年度②前回評価年度③再評価実施の理由)
▽安全な川づくり事業「一級河川田川」(宇都宮市石那田~日光市木和田島)=①2002②2016③再評価実施後一定期間が経過している事業
▽安全な川づくり事業「一級河川武名瀬川」(下野市谷地賀~上三川町上蒲生)=①1997②2016③再評価実施後一定期間が経過している事業
▽安全な川づくり事業「一級河川大芦川」(鹿沼市北半田~鹿沼市引田)=①2007②2016③再評価実施後一定期間が経過している事業
▽安全な川づくり事業「一級河川五行川」(真岡市沖~芳賀町上延生)=①1997②2016③再評価実施後一定期間が経過している事業
▽安全な川づくり事業「一級河川思川」(小山市乙女~小山市島田)=①1997②2016③再評価実施後一定期間が経過している事業
▽安全な川づくり事業「一級河川熊川」(大田原市荒井~那須塩原市箕輪)=①2007②2016③再評価実施後一定期間が経過している事業
▽安全な川づくり事業「一級河川矢場川」(足利市島田町~足利市南大町)=①1997②2016③再評価実施後一定期間が経過している事業
▽安全な川づくり事業「一級河川菊沢川」(佐野市堀米町~佐野市栃本町)=①2012②―③事業採択後一定期間が経過した時点で継続中の事業