田川の掘削完了など 鬼怒川下流域の流域治水プロジェクト 県減災対策協議会

 国や県、市町で構成する県減災対策協議会はこのほど、水防災意識社会の再構築に関する取り組みをさらに進める「県流域治水プロジェクト」を策定した。この中で県内を11流域に分割し、流域ごとに対策の3つの柱に位置付けた取組内容や工程表を示している。このうち鬼怒川下流域では、田川の宇都宮市大曽から川田町までの河道掘削について、2025年度の完了を盛り込んだ。また緊急輸送道路の整備では、国道119号の住吉町工区の21年度開通、宇都宮環状北道路の22年度開通予定を明示した。

 プロジェクトでは、県内を▽利根川(支川思川)流域▽利根川(支川巴波川)流域▽渡良瀬川流域▽鬼怒川下流域▽鬼怒川上流域▽小貝川流域▽那珂川下流域▽那珂川上流域▽那珂川(支川逆川)流域▽那珂川(支川荒川)流域▽那珂川(支川箒川)流域-の11流域に分割。

 この流域ごとに、3つの対策の柱▽氾濫をできるだけ防ぐ・減らすための対策▽被害対策を減少させるための対策▽被害の早期減災と早期復旧・復興のための対策-の合計24項目について、国や県、市町の取組内容や短期・中期・中長期の工程などを示している。

 このうち鬼怒川下流域(宇都宮市、日光市、小山市、下野市、上三川町)では、「氾濫をできるだけ防ぐ・減らすための対策」として、鬼怒川や田川、武名瀬川、御用川、奈坪川、谷田川、石川で洪水防御施設の整備(河道掘削)や粘り強い堤防の整備を、中長期(概ね30年)にわたり実施していく。

 一級河川田川は、東日本台風でJR宇都宮駅前の市街地を中心に浸水被害が広域に及んだことから、現在、改良復旧事業を進めている。事業区間は、上流側の岩曽調節池を計画する山田川合流部から、下流の川田調節池までの延長6.5km区間で、河道掘削を行い市街地の流下能力を増加させるとともに、調 節 池を整備して下流の河川水位を低減させる。工程表によると、このうち宇都宮市大曽地内から同川田町の区間の河道掘削について、25年度の完了を示している。

 砂防関係施設の整備では、横山町IIA(宇都宮市横山町)の急傾斜地崩壊対策事業の21年度完了を位置付けた。この地区は、待受け擁壁工を採用して延長242m、擁壁高さ2.6~5.0m、天端に設置する防護柵の高さ1.5mで計画し、18年度に事業に着手して4カ年で整備している。

 また「被害の早期減災と早期復旧・復興のための対策」では、緊急輸送道路の整備で都計道3・4・1号宇都宮栃木線や国道119号、123号、408号、119号などの整備に中長期にわたって取り組んでいく。このうち国道119号の住吉町工区(日光市今市)は21年度の開通、宇都宮環状北道路(宇都宮市上戸祭町)は22年度の開通を位置付けた。

 国道119号住吉町工区は延長0.5km区間の電線地中化を実施しており、宇都宮環状北道路は交差点1.2km区間を立体化して慢性的な交通渋滞の緩和と交通事故の減少を図る。このほか道路アンダーパス部の冠水対策は、宇都宮環状道路宮の内アンダーを短期(概ね5年)で整備する工程を計画している。

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