一宮川の上流域・支川 22年度事業化を検討(県土整備部)
[2021/9/15 千葉版]
県土整備部は、2019年10月の豪雨で甚大な浸水被害を受けた一宮川の上流域と支川の整備について、22年度の事業化に向けて検討を進めている。河川整備計画の変更に向け、国や関係機関と協議を進め、22年度にも詳細設計などに着手し、30年3月の完了を目指す方針だ。
14日に開催された一宮川流域治水協議会で、県河川整備課が説明した。上流域・支川の浸水対策案では、年超過確率10分の1程度の降雨で河川氾濫を解消させるとともに、19年10月豪雨と同規模の降雨で家屋や役場、要配慮者使用施設の床上浸水被害を解消させることを目標とする。
施設整備の方向性をみると、河川内に繁茂する竹木の伐採、堤防の整備、河道の掘削、調整池の設置、輪中堤、既存家屋の宅盤かさ上げなどを検討している。
事業化に向けて、県は計画流量や概略設計を検討している。「一宮川水系河川整備計画」を変更するため、10月末までに素案をとりまとめ、国や関係機関との協議を進めていく。22年2月までに案を作成し、同3月までの計画変更を目指す。
県や流域市町村で構成する一宮川流域治水協議会では、首長から上流域と支川の整備を促進するため、国に対して要望活動を実施することを求める意見が出された。
一宮川中・下流域の河川整備の実施状況をみると、河道掘削区間(瑞沢川合流点~下流)では、地権者を把握するとともに、国と協議を進めている。今年度は松潟堰上流で堆積土の撤去、川瀬橋付近で護岸工事や支障物の移設補償を実施する。
河道拡幅区間(瑞沢川合流点~鶴枝川合流点)では、用地契約が必要な約8.5haで地権者と交渉を進めている。用地機動班を活用しながら、年度内に8割程度の用地契約締結を目指す。工事については、河道拡幅に伴う橋梁の架け替え、樋門の移設などに着手する。
護岸法立て区間(鶴枝川合流点~豊田川合流点)では、護岸法立て工事の準備を進めており、24年度末までの完成を目指す。また、茂原市域の短期対策として、22年8月末までに現況堤防より50cm程度かさ上げるほか、河道断面の暫定掘削を進めていく。