9月補正は149億円程度 自民県連 20重点事業に満額回答 福田知事

[2021/09/14 栃木版]
 県の9月補正予算案一般会計は、149億円程度の規模となることが分かった。福田富一知事は13日、自民党県連に対し要望された20重点事業142億7677万円について満額回答。これに新型コロナウイルス感染症対策に係る経費や、県立美術館・博物館の施設に関する事業費など約7億円を加える補正予算案の規模を明らかにした。新型コロナ対策をはじめ、緊急防災・減災対策事業や通学路交通安全対策を早急に進めて県民の安全・安心な暮らしを実現するとともに、県内経済の活性化や教育の推進に重点的に取り組んでいく。

 回答書によると、新型コロナウイルス感染症の影響などで一般財源の確保が不透明な状況にあるが、9月補正予算では新型コロナウイルス感染症への対応をはじめ、県民生活に関わる緊要な課題に適切に対処するため編成すると回答した。

 公共事業関係では、緊急防災・減災対策事業費に6億円を予算化する。近年、静岡県熱海市をはじめ全国各地で土石流災害が発生していることを踏まえ、砂防堰堤の堆積土を緊急的に除去し、機能を回復するための事業費に充てる。

 県土整備部の公共事業費には50億5803万円を確保する。道路施設の防災・減災、国土強靭化対策を推進するため、国の5か年加速化対策に呼応して強靭な道路ネットワークの構築や道路施設の老朽化対策を前倒して実施する。あわせて、今後の円滑な事業実施に向けて、公共事業関連調査費1億5000万円も盛り込む。

 また、6月に千葉県で発生し下校中の児童が死傷した痛ましい交通事故を教訓に、県単公共事業費の通学路交通安全対策で2億円を確保する。防護柵や区画線の設置など、即効性のある交通安全対策を実施して通学路の安全確保を図る。

 さらに、県単公共事業費の国体・障スポ関連分には3億5000万円を計上し、とちぎ国体・とちぎ大会の開催に向けて主要駅・ICから競技場へのルートの舗装修繕など環境整備を実施する。

 農政部の県単公共事業費には、2000万円を上乗せする。農業用水の安定確保や農地の排水条件の改善、農村地域の災害の未然防止を図るため、老朽化した農業水利施設の改築や補修・補強など、長寿命化対策を積極的に推進する。

 このほか、スマートワーケーション受入環境整備助成事業費に5500万円を盛り込み、ワーケーション受け入れのため宿泊事業者が行うワークスペースの改修工事を補助する。地域公共交通等支援事業費は、外出自粛に伴い利用者が減少している鉄道会社への事業継続支援金に充てるため、6900万円を予算化。県立学校ICT環境整備事業費には9億1089万円を配分し、高校段階でも義務教育段階と同様にタブレット端末を整備する。

 また政策要望に対し福田知事は、グリーン社会の実現への要望について、本年度内にロードマップを策定しカーボンニュートラルの実現に取り組んでいくと回答。防災・減災対策は、県流域治水プロジェクトを今月にも策定して国や市町などと連携して取り組むほか、渡良瀬遊水地の掘削についても国に強く働きかけていく。

 新型コロナ対策では、確保病床や宿泊療養施設の効率的・効果的な運用を図るとともに、宿泊療養施設内に臨時診療所を設置していく考え。さらに、中小企業の感染症対策に係る機器整備や施設改装などの助成事業を継続して支援していくほか、テレワークの環境整備を促進し、今後の観光振興に向けては宿泊施設の感染拡大防止対策のための施設改装や設備・備品導入などの経費を助成していく。

 9月補正案の建設関連等予算額は次の通り。
(単位・万円)
【新型コロナウイルス感染症対策の推進】
▽地域企業感染症対策新事業展開支援事業=2億
▽スマートワーケーション受入環境整備助成事業費=5500
▽とちぎの観光いちご園元気アップ対策事業費=1800
▽地域公共交通等支援事業費=6900
【安全・安心な暮らしの実現】
▽公共事業費(県土整備部)=50億5803.2
▽県単公共事業費(県土整備部・通学路交通安全対策)=2億
▽県単公共事業費(県土整備部・国体・障スポ関連分)=3億5000
▽公共事業関連調査費=1億5000
▽緊急防災・減災対策事業費=6億
▽県単公共事業費(農政部)=2000
【県内経済の活性化】
▽脱炭素化技術育成支援事業費=1000
▽食肉流通安定化対策事業費=1億0500
【教育行政の推進】
▽県立学校ICT環境整備事業費=9億1089
▽とちぎの食文化調査研究発信事業費=727.7

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