納期平準化の強化要望 東北整備局らと意見交換(建コン)
[2021/9/2 宮城版]
意見交換会には、建コンから野崎会長ら26人、発注機関から東北整備局の稲田雅裕局長、宮城県の狩野淳一土木部副部長、仙台市の吉田光宏都市整備局技術管理室長など18人が参加した。
意見交換のテーマは[1]担い手確保・育成のための環境整備[2]技術力による選定[3]品質の確保・向上の──3つ。
担い手確保・育成のための環境整備では、建コンが2~3月に納期が集中して残業が多くなっている実態を明かし、その改善に向けて全発注者に納期の平準化を求めた。建コンは納期が第4四半期の割合を全体の40%程度と目標設定しているのに対し、各発注機関の実績はまだまだ目標と開きがあるため、取り組みの強化を要望した。
年度末に集中する負荷を減らす好事例として、九州整備局が第4四半期の公示や提案書の締め切り日を少なくしている事例や、中部整備局が技術提案書の提出時期を前倒ししている事例を挙げ、水平展開を期待した。
これに対し東北整備局は、東北地方全体の発注者協議会において平準化の目標値を設定した上で、取り組みの強化を図っていると説明。東北整備局では第4四半期の納期の割合が20年度に56%であり、前年度の69%から10%以上改善したことを紹介。本年度の四半期ごとの目標値は、第1が10%以上、第2が15%以上、第3が25%以上、第4が50%以下に設定している。
宮城県は、工事の平準化を目的とした債務負担行為等の活用を検討しているとし、建設関連業務でも検討していくと回答。業務の効率化に向けては、7月から職員の端末でもウェブ会議が可能になったことを報告し、さらなるICTの活用による業務効率化を図るとした。
技術力による選定の話題では、建コンが全国の地方自治体における発注方式に関し、90%以上が価格競争方式で、総合評価方式やプロポーザル方式はわずかでしかない実態をデータで提示。技術力で競えるように総合評価やプロポによる発注を増やすよう求めた。併せて、地域コンサルタントの技術力向上が図れる仕組みも導入を期待した。
これに対し宮城県は、県と県内市町村で構成されている発注者協会で総合評価方式の実施件数拡大について重点的に取り組むことを確認していると伝え、引き続き同協議会で順次拡大に向け取り組むと回答した。
東北整備局は、地域コンサルタントが直轄業務に参加しやすくするため、直轄の経験や成績を問わずに参加できる「技術力評価チャレンジ型」総合評価方式を創設し、1000万円程度のコンサル業務を対象に試行を進めていることを紹介。昨年度は13件を実施したと伝え、本年度も適用可能な業務で積極的に活用する考えを示した。
品質の確保・向上のテーマでは、建コンが橋梁修繕事業における設計者・施工者連携方式の選定を要望。東北整備局は国道45号(石巻市内)の橋梁補修工事で施工者が設計段階から参画するECI方式を試行していることを紹介し、その効果や課題を検証した上で、
他の事業でも活用を検討したいと回答した。
意見交換の総括で野崎会長は、高い技術力で公共工事の品質を上げ社会に貢献することが建設コンサルタントの使命であり、最大の魅力でもあると説き、その魅力を醸成するためにも「ぜひ技術力の選定を進めてほしい」と述べた。
稲田局長は、平準化について「不断の努力を続け、各県や仙台市とも連携を取りながらしっかり進むよう努めていきたい」と話すとともに、技術力による社会への貢献と担い手の確保に共感を示し、技術力による選定を「後押ししていきたい」と応じた。