3橋の詳細設計着手 永野川改良復旧 JR線橋梁も架替え 栃木土木
[2021/09/01 栃木版]
県は、栃木市を流れる一級河川永野川の改良復旧事業10.6kmで、架け替える千部橋、両明橋、諏訪橋の3橋梁の詳細設計に着手したほか、蛇行している河道を直線的に付け替え再整備するJR両毛線橋梁はJR東日本と調整を進め、委託時期を検討している。県栃木土木事務所によると、3橋梁とも河積阻害の少ない2径間に変更して諸元をまとめる見通しを示した。また、改築する榎本堰、新西野田堰、二杉堰の3カ所の取水堰は、固定堰から自動転倒堰に改善するため詳細設計に着手している。
永野川は、令和元年東日本台風の豪雨出水で越水による家屋の浸水や堤防決壊、護岸崩壊、橋梁の損傷などの甚大な被害が発生した。県は、特に被害の大きかった大平町西水代地内の国道50号から上流の皆川城内町地内の主要地方道栃木佐野線まで12kmのうち、整備済区間を除く10.6kmについて、災害復旧助成事業を導入して整備に着手した。
事業の内容は▽河道掘削▽護岸整備▽堤防の嵩上げ▽橋梁の架け替え▽取水堰改築▽河川の付け替え-を計画し、東日本台風と同規模の洪水に耐えられるよう、越水や決壊による浸水被害の解消を目指す。事業費は192億円を試算している。
本年度は渇水期からの施工を視野に、下流側の大平町真弓地先で3件、大平町蔵井地先と大平町下皆川地先で各1件の計5件の護岸工事を9月までに一般競争入札で発注。特定JVの編成を求め、工期には20カ月を見込んでいる。
構造物のうち橋梁は、道路橋3橋を架け替える。下流側から主要地方道岩舟小山線の千部橋は、直下流側の旧千部橋を撤去・統合して架け替える。現在の橋梁は、1962年度に架設した橋長75mの3径間RC-T桁で、幅員は車道のみ7m。新橋は側道橋を統合して幅員を13.5mに拡幅し、橋長も河道幅の100m規模を想定している。橋梁詳細設計は、シーアイエス(宇都宮市)が担当している。
市道橋の両明橋は、1934年度に架設された7径間のRC橋で、幅員は4.7m。新橋は車両の交互通行が可能な6mを確保する計画で、橋梁詳細設計は、橋梁コンサルタント(東京都中央区)が担当する。
諏訪橋も1934年度架設のRC橋で、対岸の地区を結ぶ生活道路に架かる。洪水で落橋しており、原形復旧を前提に現橋幅員の3mで架け替える。橋梁詳細設計は、富貴沢建設コンサルタンツ(宇都宮市)が担当している。
JR両毛線橋梁は、永野川が大きく左に蛇行する箇所に架設されていたため、洪水で落橋した。現在は復旧され列車も運行されているが、河道の付替えに伴い架け替える。県の予備設計の成果を基に、JR東日本に設計・施工を委託する予定で、架け替えに当たっては右岸側を引き堤し、直線的に河川法線を是正して安全性を高めるとしている。
改築する取水堰の詳細設計は、下流側から榎本堰を栃木県用地補償コンサルタント(栃木市)、新西野田堰をピーシーレールウェイコンサルタント(宇都宮市)、二杉堰をダイミック(同)が担当している。