百頭・県78haを調査 圃場整備 23年度の計画樹立へ 安足農振
[2021/08/19 栃木版]
足利市の百頭・県地区78haが、県営農地整備事業の2023年度の計画樹立に向け、基礎調査に着手したことが分かった。本年度当初予算には1700万円を確保し、県土地改良事業団体連合会へ業務を委託した。県安足農業振興事務所によると、地元には百頭・県地区圃場整備事業推進委員会を立ち上げ、仮同意を徴収。すでに営農検討部会と本年6月には環境配慮検討部会を設置したという。農地中間管理機構との連携も視野に入れており、概算事業費には13億円を試算している。
同地区は、東武伊勢崎線県駅南側に広がる農地で、協和中学校の周囲の78ha。受益面積は水田77ha、畑1haで、農業用水を供給している三栗谷用水土地改良区のエリアに位置し、過去には同地区を含む圃場の再整備に向け、国営事業の導入を想定していた。
この地区は耕地整理事業を導入した経緯があり、区画は整っているものの10~20a程度の小区画水田となっている。道路は狭い土砂道で、水路も土水路となっている箇所が散見されるなど、大型機械による耕作ができない状況。周辺の農地も同様な状況で、市は同地区を含む800ha規模について、再整備構想を持っている。
農地整備事業実施の機運は19年度に高まり、三栗谷用水土地改良区は市に、百頭・県地区と高松地区で圃場整備事業の実施を求める要望書を提出。市は同改良区と連携して、意向を確かめる地元説明会やアンケート調査を実施した。その結果を受けて市は、百頭・県地区を優先して圃場整備を実施することに決定し、地区の現況を確認する地形図を作成。20年3月には、推進委員会を設立している。
20年度に市は、換地等調整事業を実施して土地の権利等調査を進めるとともに、8月上旬には地区の同意書をまとめ、県営による圃場整備事業の実施に向けて調査計画の申請を行った。
事業の必要性は、地区内における農業者の高齢化と担い手不足に加え、耕作放棄地も増加していることから、圃場整備による大規模な農業基盤の再整備と合わせ、担い手への農地の集積と集約化を進めることを目的とする。
計画上の問題点のうち、営農計画ではハウスが多くある地区のため、移転などの取り扱いに注意が必要。整備計画では、地区下流域での排水の調整が必要で、農道も狭いとした。また、埋蔵文化財が多く点在しており、20年度に埋蔵文化財等の所在調査を要望している。
今後の対策として、営農計画についての問題点は、事業推進委員会や営農検討部会で調整を進めていく。整備計画や埋蔵文化財は、本年度の基礎調査の結果を踏まえて、22年度の計画設計や23年度の計画樹立業務の中で検討していく見通しだ。