安足土木 統合堰と中橋を発注 秋山川改修  大橋架け替えは22年度に

[2021/08/11 栃木版]

 東日本台風で堤防が決壊した佐野市の一級河川秋山川の、県による改良復旧工事の発注が、本年度の渇水期施工を見据えてピークを迎えそうだ。最下流の(仮称)統合堰は左岸側に続き、9月までに右岸側下部工、年内には上部工を、流失した佐野市道53号線中橋は同じ時期に下部工と上部工を一般競争入札で発注する。主要地方道桐生岩舟線大橋の架け替えは、右岸側引き堤による用地調査と用地買収を進め、22年度の発注を目指す。県安足土木事務所によると、決壊箇所の護岸と築堤などを含め、本年度末には進ちょく率50%を目指すとしている。

 発注見通しによると、9月までに護岸工を2件と、年内には1件を指名競争入札で発注し、統合堰の改修に合わせて9月までに取水樋管工を発注する。東武佐野線鉄道橋直下の対策は、東武鉄道と調整を進めている。

 市道橋の中橋は、市から受託して架け替えを実施する。橋長は53.3mで、2径間連続プレビーム桁を採用。下部工は杭基礎逆T式橋台2基と、杭基礎の橋脚1基を施工する。橋梁詳細設計はシーアイエス(宇都宮市)が担当した。幅員は旧橋と同じ5.1mで、車道4mの両側に0.55mの路肩を確保する。

 22年度の着工が見込まれる桐生岩舟線大橋は、秋山川の改良復旧に合わせて街路事業で実施する。橋長は53.9mで、上部工は堤防高と道路に対し桁高を低く設定できる2径間連続プレビーム合成桁と、中橋と同じ橋種を採用した。下部工は、杭基礎逆T式橋台2基と杭基礎の橋脚1基を施工する。

 幅員は都市計画決定の18mを確保し、車道3m×2車線、交差点に近接し右折レーン3m、路肩兼自転車道1.5m×2、歩道3m×2を内包する。また、拡幅整備に合わせて電線類地中化を実施する。市中心部に位置し、交通量が多いことから、現橋下流側に幅員10mの仮設橋を設置して施工中の交通を確保する計画で、橋梁詳細設計はダイミック(宇都宮市)が担当している。

 東日本台風で氾濫した秋山川は、3000mのうち2750mが19年度に河川激甚災害対策特別緊急事業(激特)、250mが河川災害関連事業(関連)に採択された。事業期間は24年度まで6年間で、事業費は激特が57億円、関連は5億円を計画している。

 改修区間は直轄河川区間から、北関東自動車道横断部など改修に着手している交付金整備区間を除き、統合堰から上流に菊沢川放水路合流地点までの3000m。この区間の河川は蛇行しており、東日本台風による豪雨では、海陸橋直上流部右岸と市街地の大橋直上流部右岸の2カ所で護岸が決壊した。

 県施行の秋山川改修は、標準断面で80mに拡幅する。全区間で計画流量毎秒430立方mを確保するため、河道掘削と拡幅、決壊箇所周辺の巻堤や漏水対策工などを実施していく。

 同事務所では、東日本台風が発生した19年度から橋梁などの構造物設計や決壊箇所の応急対策工事に着手した。事業区間下流端の排水樋門2カ所に加え、用地買収が伴わない8工区で護岸工事に着手し、これらの工事は20年度末に概成した。

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