河内農振 圃場20㌶を初弾工 海道地区 10月に実施設計2件
[2021/08/04 栃木版]
県は、農地整備事業(経営体育成型)海道地区(宇都宮市)の初弾工となる圃整工事20㌶の発注準備を進めている。地区南側の圃場を各10㌶に2分割し、1工区は事務所発注の指名競争、2工区は本庁執行の一般競争で、月内にも指名通知および公告する見通しとなった。2工区が一般競争入札となる理由について、県河内農業振興事務所は排水を反復利用する取水工や水利用を円滑にする盛り切土工事が多くなることを挙げた。10月には、来年度以降の圃整工事の実施設計と工事箇所の変更実施設計を委託する予定。なお、同地区に整備するイチゴ団地は2カ所に集約する。
県が圃場整備に合わせ、イチゴ団地の創設を計画しているのは海道地区が初めて。当初は1団地の面積を2㌶程度とし、3カ所程度を想定していたが、南側に3.8㌶(イチゴハウス約1㌶)、中央部に3.6㌶(同)を配置することに決めた。地元の海道土地改良区が、イチゴ経営を担う10経営体の新規就農者を募集。2023年4月以降の生産開始を目指し、南側は本年度、中央部は22年度に面工事を行う計画となっている。
海道地区は20年度に事業採択を受け、農地整備を実施し、水田の汎用化や省力化技術を導入して生産コストの低減を図る。加えて、農地の集積・集約化を促進、園芸作物の生産拡大を図り、園芸大国とちぎづくりを実現する。
イチゴ団地の創設は、園芸大国とちぎづくり実現に向けた試みで、就農希望者を公募し、技術の習熟や設備の確保などを進めていく。また、自動給水栓(ファーモ)を導入し、用水はスマートフォンで水管理を行うなど、大規模化に対応した労力の低減を図る。
同地区の事業費は11億4000万円で、圃整工63.4㌶、道路工6.6㎞(橋梁工1基)、用水路工9.7㎞、排水路工9.4㎞、生態系保全池2カ所を計画。用水を安定的に供給するため、上流の添掘用水1.6㎞を改修し、耕区は大区画の50㌃を標準に整備する。3等分して本年は南側、22年度は中央部、23年度には北側と、3カ年で面工事を実施していく予定だ。
海道地区は宇都宮の市街地から北東約8㎞に位置し、標高131~145㍍程度で周辺は住宅地に囲まれている。対象区域は、一般県道氏家宇都宮線(通称・白沢街道)沿いの西側で、南北に細長く、国道119号宇都宮環状線(宮環)北側の市道と北清掃センター付近の市道との間に広がる約2.5㎞の水田地帯。区域中央を東西に一般県道下岡本上戸祭線が横断し、西側には普通河川御用川が流れている。
これまで農業生産基盤整備は実施されていないため、不整形で狭小な農地に加え、用排水兼用の土水路で水管理に支障を来している。作業用道路が少なく、農地を通って作業用機械を搬入しなければならないなど、生産性の低い農業が続けられている。
事業では、地区内の用排水路を分離、整備装工し水の有効利用と管理の省力化を図る。用水路工は支線と小水路を主体に延べ9.7㎞、排水路も支線と小排水路が主体で延べ9.4㎞を計画。生態系保全施設は、魚類の移動を考慮し、排水路に落差30~50㌢程度の水路魚道工に加え、管理用を含めた駐車場と旋回場を確保し、生態系保全池2カ所を整備する。
用水は添掘用水と御用川から導水し、地区下流の排水路から御用川へ自然排水している。添掘用水は、区域北側に離れた上流部の土水路区間1.6㎞をU型水路で改修する。規格は幅1200×深さ900㍉を計画し、工事費には1億4000万円を試算した。
道路は全幅6㍍の幹線道路を延べ3.6㎞整備し、イチゴ団地周辺の荷傷み防止対策が必要な0.8㎞はアスファルト舗装する。支線は5㍍を主体に舗装はせず、敷砂利で延べ3㎞を計画する。また、地区内のネットワークを構築するため、御用川を渡河する橋梁1基を計画している。