文挾BP施工計画委託へ 宇都宮今市線立体構造物で設計 日光土木

[2021/07/30 栃木版]
 県は、日光市の国道121号(通称・例幣使街道)文挾バイパス優先整備区間の北側3.5㎞の詳細設計をまとめ、丘陵地の安定勾配を保つため盛り土・切土を多用するほか、雨水対策のための調整池を2カ所、高低差を利用し主要地方道宇都宮今市線をオーバーパスする。県日光土木事務所によると、主要地方道宇都宮今市線と普通河川飛土沢を渡河する構造物についてボックス工と、道路と河川を一気にオーバーパスする橋梁形式とを比較検討。また、同交差点近隣には3カ所目の調整池を計画しており、バイパス北側2カ所の調整池と合わせ容量を調整していく。バイパス施工地は軟弱地盤が確認されているほか、交差する市道が限定され、工事用道路の必要性を含め、年内を目途に施工計画検討業務を発注する見通し。
 立体交差構造物の予備設計と宇都宮今市線接続道路の詳細設計は、富貴沢建設コンサルタンツ(宇都宮市)。接続道路付近の調整池詳細設計をダイミック(同)が担当。
 同バイパスの全体延長は鹿沼市境まで7.4㎞。現道西側に整備し、宇都宮今市線交差部で南北に工区分けする。現道分岐を含め交差点は9カ所、付加車線を設置する主要交差点は4カ所を計画した。宇都宮今市線との立体交差は、県道にアクセスする流出・流入路について高さが同程度となる交差部南側に確保し、県道の東側に合流する。同交差部南側には調整池を計画した。
 同バイパスの区間は、13年3月に供用した板橋バイパスの南進区間に当たり、道路規格は第3種2級、設計速度は時速60㎞、車線数が2車線。
 バイパスのルートは、標高差のある丘陵地と農地が連続。縦断勾配を保つため、全線にわたり盛り土・切土構造で計画。道路詳細設計とともに、昨年度には軟弱地盤解析業務を委託した。
 谷地の多いルートは、高盛り土区間などで地盤改良の可能性が高いことに加え、現道が杉並木で大型車両に対応できる工事用道路の確保が難しい課題があるため、効果的な施工手順を検討していくもの。
 付加車線を設置する主要交差点は、北側から現道分岐、市道1016号線、同54089号線、同1018号線の4カ所。河川渡河部は飛土沢と2カ所で交差しており、ボックス工で施工できるよう直角に交差するよう付け替える予定。このための切り回し詳細設計も、年内までに委託する見通し。
 調整池は市道54089号線交差点の南西側、同1018号線交差点の北東側の2カ所を計画。容量や規模は、3カ所目の調整池の位置等の検討とともに、用地提供者の状況を見極め、雨水を貯留する必要量を3カ所の調整池で対応する。
 幅員は標準部で12~14.5㍍とし、現道分岐北側の約0.7㎞は住宅が両側に立地しているため両側歩道。南側約2.8㎞を落合中学校が立地する西側に歩道を確保した片側歩道で計画した。幅員構成は、標準部で車道3.25㍍×2車線の両側に自転車専用通行帯1.5㍍、歩道を2.5㍍確保する。交差点部は中央に付加車線分3㍍を配置し、15~17.5㍍で計画した。
 現道の121号は、両側に杉並木が囲むように連続し、幅員が狭く屈曲、大型車両の交互通行にも支障を来している。例幣使街道をはじめ、国道119号(通称・日光街道)では、老齢化する杉並木の保護などを目的にバイパス整備が進められている。
 県は事業化に当たり、沿道の土地利用状況の調査や整備方針などの検討を行ってきた。ルートの決定に当たっては、回避対象となる鉄塔や池、工場、オイルタンク、墓地などのコントロールポイントを考慮。同地には埋蔵文化財(中小代遺跡)も確認されているほか、圃場整備完了地を縦断するため、田畑の寸断と斜切りは最小限に抑えた。
 ルートは比較的比高のある丘陵地と、その間の農地が連続するため、高盛り土や大規模な切土を避けることで、用地面積や切土搬出残土を縮減していくとしている。

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