「担い手確保」が重要課題 遠隔臨場やCCUS検討 建設局長 斉藤平氏 就任インタビュー(千葉市)
[2021/7/16 千葉版]
千葉市建設局長に就任した斉藤平氏が、弊紙インタビューに応じ、「地元建設業の担い手確保が重要な課題」と述べ、施工時期の平準化のほか、新たな取り組みとして遠隔臨場の試行導入や建設キャリアアップシステム(CCUS)を検討していく考えを示した。
──就任の抱負は。
「本市は、今年1月に市制100周年を迎え、そのような節目の年に建設局長に就任し、その重責に身の引き締まる思いだ。建設局は、道路や公共下水道、河川などインフラの整備と維持管理を担当しており、市民生活に直結している。市民が安全・安心に住み続けられるまちづくりに全力で取り組みたい」
──激甚化する災害にどう対応する。
「2019年の台風15号では、倒木による長期停電や道路の通行止めが発生し、市民生活に大きな影響を及ぼしたため、無電柱化を強力に推進する。東京電力やNTTと災害協定を締結し、倒木処理などに関する覚書を交わしており、防災訓練にも力を入れていく」
「浸水被害の経験を踏まえ、局地的な集中豪雨や、台風などの大雨による浸水被害を軽減するため、2017年に雨水対策重点地区整備基本方針を策定した。この基本方針に基づき、重点地区13地区のうち、JR千葉駅、JR蘇我駅、都川、みつわ台周辺の4地区で、雨水貯留槽などの整備を進めている」
──重点的に取り組みたいことは。
「検見川・真砂スマートインターチェンジ(IC)の事業化に向けた検討を本格化したい。国土交通省の新規準備段階調査箇所に採択され、昨年度に準備会を発足した。今年度は詳細設計に着手するとともに、早期の新規事業化を目指し、国と調整・協議を進めていく」
「道路ネットワークの整備では、都市計画道路で未整備区間となっている磯辺茂呂町線や塩田町誉田町線などに取り組みたい。併せて、道路施設のリノベーションにも注力し、渋滞対策として右折レーン設置や、児童・生徒の安全を確保する歩道整備など、局所的な整備も進め、質の向上を図りたい」
──ICT施工をどのように進めていく。
「3次元データの活用など簡易型ICT活用工事の導入を検討するため、試行要領の改定に着手する予定だ」
──建設業界について。
「災害時に市民の財産・命を守ってくれるのは建設業。これからも存続してもらうために、地元建設業界の担い手確保は、市にとって重要な課題だ」
「この課題を解決するため、2014年度から施工時期の平準化に最優先で取り組んでいる。舗装・側溝新設改良事業や交通安全施設等整備事業で拡大したほか、市有建築物計画的保全事業や下水道事業でも実施している」
「週休2日制工事のほか、クラウド上で工事書類のやり取りなどをする情報共有システム利用の拡大に努めている。新たな取り組みとして、遠隔臨場の試行導入や建設キャリアアップシステム(CCUS)の検討を進めていきたい」
■プロフィル
さいとう・ひとし
1986年に千葉市建設局に入庁後、土木部の技術管理課や維持管理課などに配属。2017年に土木部長、20年に建設局次長兼水道局長、21年4月から現職。趣味は先輩から進められたゴルフ。1963年生まれの58歳。