住宅マスプラ見直しへ 第1回懇談会 本年度内の計画変更図る 県住宅課

[2021/07/14 栃木版]
 県住宅課は13日、県庁昭和館の会議室で第1回となる県住宅マスタープラン懇談会を開催した。今回は県住宅マスタープラン(県住生活基本計画)や高齢者居住安定確保計画(II期計画)の実施状況を説明したほか、次期県住宅マスタープランの骨子案および第1次素案について委員に説明。今後は複数の懇談会や専門部会を開催して次期計画案を策定し、パブリックコメントや大臣協議などを経て本年度末にも住宅マスタープランを変更して公表する計画だ。

 県は県民の住生活の安定確保・向上を図るため、2017年度に現在のマスタープラン(県住生活基本計画)を策定し、関連する県高齢者居住安定確保計画や県公営住宅等長寿命化計画などとともに、本県の住生活を総合的・計画的に推進している。この県住宅マスタープランは、社会経済情勢の変化や住生活基本計画(全国計画)の見直しを踏まえ、概ね5年ごとに見直している。

 本年3月には全国計画が見直され、近年の自然災害の頻発化・激甚化や新型コロナウイルスの感染状況を踏まえた「新しい日常」における住宅情勢など、新たな課題が示された。また県においても、県政の基本方針となる県重点戦略「とちぎ未来創造プラン」と、県高齢者支援計画「はつらつプラン21」をこの3月に見直した。

 今回は、これら関連計画と連携・整合を図り、県が住生活を総合的・計画的に推進するため、県住宅マスタープランの見直しを行う。見直しにあたっては全国計画の変更内容などを踏まえ、これまでの県住生活基本計画のほか、関連計画の県高齢者居住安定確保計画や県賃貸住宅供給促進計画を加えた3つの計画で構成する「県住宅マスタープラン」として見直しを行う。

 次期マスタープランは、計画期間を21年度から30年度までの10年間とし、今後の社会経済情勢の変化や住生活基本計画(全国計画)の見直しを踏まえ、概ね5年後に見直しを行う。

 議事に先立ち、住宅課の大橋正之課長は懇談会の設置に至った経緯を説明し、「見直しに係る懇談会を数回予定している。限られた回数ではあるが、委員それぞれ専門の立場から意見や提言を頂いて今回の見直し等策定作業を進めていきたい」とあいさつ。会長に選出された足利大学の室恵子教授も「住宅マスタープランがより良いものとなるよう、委員の皆さんのご意見をいただきたい」とあいさつした。

 議事はまず、事務局から現在の県住宅マスタープラン(県住生活基本計画)および高齢者居住安定確保計画(II期計画)の施策の実施状況を説明。高齢者の居住する住宅の一定のバリアフリー化率や子育て世帯の誘導居住面積水準達成率、最低居住面積水準未満率、サービス付き高齢者向け住宅の整備などの成果に課題をあげた。

 次期県住宅マスタープランの骨子案は、基本目標に▽多様な居住ニーズに対応した「誰もが住みやすいとちぎ」▽安全で良質な住宅ストックを「未来につなぐとちぎ」▽「新たな日常」への対応と、魅力の維持・向上、災害への備えをもつ「選ばれるとちぎ」-の3つを掲げた。

 このうち、「誰もが住みやすいとちぎ」では若年・子育て世代や高齢者がそれぞれ安心して暮らせる住宅の実現や、住宅確保要配慮者への適切な住宅の確保などを、「未来につなぐとちぎ」では良質な住宅の供給促進や脱炭素社会に向けた住まいづくり、既存住宅の有効活用、空き家の利活用促進などを施策に掲げている。

 また、「選ばれるとちぎ」では災害に強い居住空間の実現や持続可能な住宅街の形成、柔軟な働き方による新しい住まい方の実現などを盛り込んでおり、あわせて公営住宅の供給目標量を定めていく。

 これら事務局の説明を受けて、委員からは「住宅の供給の面だけでなく、周りのコミュニティも含めた踏み込んだ計画が重要」や「既存住宅の活用が進まないのは、住まいに関する学びが不足しているため」といった意見が示され、事務局は次回懇談会で、これら意見への対応も盛り込んだ第2次素案を示したいと返答した。

 懇談会はこのあと、9月にも高齢者居住安定確保部会と賃貸住宅供給促進部会の2つの専門部会を開催し、10月に第2回懇談会を開催する予定。その後も第2回専門部会や第3回懇談会を開催するとともに、パブリックコメントや市町協議、公営住宅供給目標量に係る大臣協議を経て、年度末にも次期住宅マスタープランを策定して公表する予定としている。

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