調節池を暫定供用 茂原市域で短期対策(県一宮川改修)

[2021/7/2 千葉版]
 県一宮川改修事務所は、甚大な浸水被害を受けた一宮川の茂原市域で短期対策を計画している。地元からの強い要望を受け、治水機能の早期発現を目指し、増設する第二調節池の暫定供用や仮設堤防の整備、暫定断面の確保に向けた河道掘削などに取り組んでいく。

 短期対策では、第二調節池の増設工事や、本格着手する河川激甚災害対策特別緊急事業の護岸工事について、進め方を工夫し、8月末までに第二調節池増設部分の約15万立方m、2022年8月末までに約25万立方mをそれぞれ暫定供用する方針だ。

 堤防については、左岸を対象に、現況から50cm程度を仮設でかさ上げるとともに、暫定断面を確保するため、河道の掘削を進めていく。鶴枝川合流点から第二調節池までの右岸については、コンクリートでかさ上げる。

 県は、開会中の6月定例県議会に河川激甚災害対策特別緊急事業の初弾工事となる護岸工事2件の契約締結議案を提出。一宮川中流域の護岸法立工事を進めていくもので、土砂を掘削した後、現場打ちコンクリート工法により、擁壁護岸を整備するほか、鋼矢板を打ち込む。契約先は2件とも清水建設(千葉支店・千葉市中央区)と幸和建設興業(松戸市)の特定建設工事共同企業体(JV)。

 県はこれまで、市街地区間を中心に、集中的に竹木の伐採や堆積土の撤去を実施。5月末までに市街地区間の作業がおおむね完了したという。

 河川監視体制については、5月末までに豊田川と三途川に危機管理型水位計を設置。一宮川では、8月末までに監視カメラを設置し、洪水の状況をウェブで確認できるようにする。

 茂原市は、早野、鷲巣の2地区で、22年末ごろの完成を目指し、排水機場の整備を推進。浸水被害の解消には内水対策が必要不可欠であることから、具体的な内水対策の検討を進めており、29年度まで実施する予定だ。

 一宮川流域では、過去30年間で4度目の被害が生じた事を踏まえ、19年10月25日と同規模の降雨に対して、家屋や主要施設の浸水被害ゼロを目指し、河川整備と内水対策、土地利用施策が連携した一宮川流域浸水対策特別緊急事業を実施している。

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