24市町で総額90億円 長寿命化や耐震化 8市町が処理場施工 国庫公共下水道整備

[2021/06/17 栃木版]

 県内市町が交付金を導入して実施する公共下水道整備の2021年度の総事業費が、89億9991万円に上ることが分かった。事業を実施するのは、25市町のうち塩谷町を除く14市10町の計24団体。処理場の施設増設や長寿命化の更新に加え、管渠を含めた耐震化対策が本格化する。雨水対策では雨水幹線の延伸とともに、足利市や佐野市など7市町が処理場・中継ポンプ場の耐水化計画を策定するほか、栃木市は永野川の氾濫を受け調整池新設の工事費を配分。処理場の改善は、宇都宮市や小山市など8市町が工事、7市町が次年度以降の施工に備えた設計を行う。

 下水道整備の交付金のうち、国交省の社会資本整備総合交付金を充当するのは那須烏山市と茂木町、那珂川町を除く13市8町。13年度から同省が耐震対策や長寿命化のための更新として創設した防災・安全対策の同交付金は、小山市など13市8町に充当。地域再生計画に基づき汚水処理関係3省庁の整備を効率的に行うため、内閣府が創設した汚水処理施設整備交付金は、宇都宮市と鹿沼市の汚水管渠、栃木市の調整池工事に充当する。

 主な事業は、市町村合併で旧市町を取り込んだ市に加え、事業導入が後発の町などで面整備を推進するため、管渠整備の進ちょくを図る。栃木市は認可区域の総体的な底上げを目的に、旧栃木市街地外縁部や大岩藤処理区の管渠の整備を推進。宇都宮市は社会資本整備総合交付金と防災安全交付金とともに、17年度から内閣府の地域再生計画「宇都宮市清らかな水環境再生計画」を導入。河内・上河内地区の管渠整備とともに、長寿命化に伴う川田水再生センターの設備更新、清原の耐震化の設計を実施する。

 市町合併を経て秋山川処理区の移管を受けた佐野市も、汚水管渠工事の大幅な進ちょくを図るほか、中継ポンプ場の改築を含む水処理センターの耐震診断・設計を実施する。新規では、耐水化計画策定費を予算化した。

 汚水管渠の整備のうち、小山市は認可拡大に伴い延べ3.8kmの汚水管の整備を進めるほか、思川支川の豊穂川の氾濫被害を軽減する大行寺雨水幹線工事の進ちょくを図る。また、小山水処理センターの汚泥処理施設、バイオマスガス発電施設を整備するため、PFI手法を採用。真岡市や下野市では道路新設、土地区画整理事業地内の管渠新設などの進ちょくを図るほか、未普及エリア解消に向け、高根沢町が宝積寺処理区の面整備を推進していく。

 老朽汚水管渠の対策では、宇都宮・佐野・鹿沼・那須塩原・野木などで設計費や管更生工事費を予算化。雨水管渠は、佐野・鹿沼・下野・上三川・壬生などで設計費や工事費を計上した。

 処理場の整備は、宇都宮・佐野・小山・真岡・益子・壬生・野木・高根沢の8市町が20年度までに設計を完了し、耐震化や長寿命化対策工事を実施する。宇都宮・足利・佐野・鹿沼・小山・矢板・那須の7市町は調査や設計を進め、22年度以降の施工に備える。

 東日本大震災を契機に下水道施設の耐震化や施設の延命化を目指した長寿命化の取り組みが本格化し、関東・東北豪雨や東日本台風による処理場の水没被害を受けて、施設のかさ上げや遮水壁の設置など耐水化の動きも加速。河川沿いに立地する処理場や中継ポンプ場は、浸水想定区域に立地するケースも多く、耐水化計画も宇都宮・足利・佐野・矢板・さくら・益子・茂木の7市町で予算化した。公営企業会計制度への移行を含め、長寿命化対策はストックマネジメントに衣替えし、計画策定とともに緊急箇所から設備更新などを実施していく市や町が事業の主流に定着した。

 各市町の21年度の交付金別事業概要は次の通り。([1]社会資本整備総合交付金[2]防災安全交付金[3]汚水処理施設整備交付金)
▽宇都宮市=[1]汚水管渠工事L300m、清原水再生センター汚泥処理施設増設工事(継続)、川田水再生センター脱水機増設工事、下河原水再生センター再構築実施設計、汚水管渠施設統合実施設計[2]川田水再生センター脱水機・前処理設備改築更新工事(継続)、同特高受変電設備改築更新工事、清原水再生センター耐震詳細診断、中継ポンプ場(竹林・西川田)耐震詳細設計、老朽管改築更新工事L100m、老朽管渠長寿命化実施設計、老朽管渠調査診断、管渠耐震補強実施設計、終末処理場等耐水化計画策定、内水ハザードマップ作成、調整池工事[3]汚水管渠工事L1800m
▽足利市=[1]汚水管渠工事L900m、生活排水処理構想策定[2]ストックマネジメント計画策定、汚泥処理棟耐震実施設計、足利市水処理センター・中継ポンプ場耐水化計画策定
▽栃木市=[1]汚水管渠工事L3600m[3]雨水調整池整備工事、水質調査業務委託
▽佐野市=[1]汚水管渠工事L4800m[2]管路施設調査・点検・診断委託L11.0km、管路施設改築詳細設計、佐野市水処理センター耐震設計・耐震診断、同監視制御設備工事(継続)、同スクリーンかす設備更新工事、中継ポンプ改築詳細設計、管更生工事L300m、マンホール蓋更新工事N170カ所、雨水幹線工事L100m、同詳細設計、舗装復旧工事A1200平方m、佐野市水処理センター・中継ポンプ場耐水化計画策定
▽鹿沼市=[1]汚水管渠工事L300m[2]管路調査診断L11.5km、管渠改築更新詳細設計、水処理・汚泥処理設備改築更新詳細設計、雨水幹線工事L300m[3]汚水管渠工事L1100m
▽日光市=[1]汚水管渠工事L1700m、舗装復旧工事L200m[2]管路施設調査・診断業務委託、マンホール蓋交換工事N10カ所
▽小山市=[1]汚水管渠工事L3800m、中継ポンプ場築造工事(継続)、小山水処理センター汚泥処理・有効利用施設整備(PFI方式)[2]ストックマネジメント実施計画策定、小山水処理センター改築更新工事(継続)、同管理棟耐震補強工事(継続)、同汚泥棟耐震設計、大行寺雨水幹線工事L700m
▽真岡市=[1]汚水管渠工事L800m、舗装復旧工事A575平方m[2]真岡水処理センター改築更新工事、雨水幹線枝線工事L200m
▽大田原市=[1]汚水管渠工事L700m、舗装本復旧工事L1500m[2]ストックマネジメント計画策定
▽矢板市=[1]汚水管渠工事L500m、汚水幹線管渠測量・実施設計L2400m[2]矢板市水処理センター改築・更新実施設計、同耐水化計画策定
▽那須塩原市=[1]汚水管渠工事L1800m[2]管更生工事L300m
▽さくら市=[1]汚水管渠工事L2400m、ストックマネジメント計画策定[2]氏家・喜連川水処理センター耐水化計画策定
▽那須烏山市=[2]ストックマネジメント計画策定
▽下野市=[1]汚水管渠工事L5000m[2]雨水管渠工事L500m、管渠(汚水・雨水)点検・調査L7700m
▽上三川町=[1]汚水管渠工事L1000m[2]雨水管渠工事L200m、管渠(雨水)老朽度調査L6500m
▽益子町=[1]汚水管渠工事L400m、益子浄化センター汚泥処理棟増設工事(継続)、同汚泥脱水設備工事(継続)[2]益子浄化センター耐水化計画策定、管路施設調査
▽茂木町=[2]中継ポンプ場耐水化計画策定
▽市貝町=[1]舗装復旧工事L1300m
▽芳賀町=[1]汚水管渠工事L500m
▽壬生町=[1]汚水管渠工事L900m[2]壬生水処理センター汚泥処理施設改築工事、老朽管渠調査診断L4000m、雨水管渠工事L800m
▽野木町=[1]汚水管渠工事L300m、舗装復旧工事L1200m[2]逆川排水機場耐震補強工事(継続)、管更生工事L100m、老朽管渠調査診断L3000m
▽高根沢町=[1]汚水管渠工事L1200m、舗装復旧工事A1000平方m、宝積寺アクアセンター水処理設備増設工事、汚水管渠実施設計L1700m[2]マンホールポンプ監視装置更新工事、宝積寺アクアセンター煙感知器交換工事
▽那須町=[1]汚水管渠工事L200m[2]湯本浄化センター建築付帯・建築設備更新設計、同管理棟・機械棟耐震設計
▽那珂川町=[2]管路施設耐震化工事L600m、ストックマネジメント計画策定

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