巴波川で耐水化計画 6処理区整備に17億円 県流域下水道

[2021/06/16 栃木版]

 県下水道室は、2021年度の流域下水道事業の概要をまとめた。4流域6処理区の整備に、17億4133万円を配分する。経年劣化に伴う老朽化や長寿命化、耐震化対策を主体に、鬼怒川上流(上流)と巴波川の2処理区の処理場で汚泥設備の更新工事を計画。また新規では、巴波川を対象に耐水化計画を策定する。管渠は全処理区で、老朽度診断・工事やマンホール鉄蓋の更新工事を行う。県央浄化センターは、22年度からの着工を見据えて6系列目の水処理施設の増設設計を策定し、下水道資源化工場は汚泥処理設備の更新工事を継続する。

 主な工事のうち、浄化センターは管理棟・汚泥棟の設備更新や監視制御設備更新など、長寿命化対策が主体となる。県は20年度から公営企業会計制度に移行しており、長寿命化対策を効率的に行うため、各浄化センターの設備台帳をデータベース化して、全処理区の施設と下水道資源化工場を対象にストックマネジメント計画を策定した。

 また、15年11月の改正下水道法施行など環境変化を踏まえ、流域下水道事業の全体計画・事業計画の見直しを各処理区で進めてきた。加えて近年の豪雨災害に対応するため、浸水が想定される巴波川は21年度、北那須は22年度にも耐水化計画を策定する見通し。

 管渠や特殊マンホールは、耐震化対策のための診断・設計を行い工事に着手するほか、長寿命化に向けた対策を継続で進め、本年度も継続的にTVカメラによる管路施設の老朽度診断を鬼怒川上流・巴波川・思川の3処理区で行い、後年度の管更生工事に備えていく。特に思川処理区は17年9月、野木町佐川野地内で管渠腐食により道路陥没を起こしており、硫化水素による劣化を抑制していくとした。

 マンホール鉄蓋の更新は、鬼怒川上流・北那須・大岩藤で44カ所を実施。県のキャラクター「とちまるくん」をデザイン化したもので、交通量が多く傷みの激しい車道を除き、通行の多い歩道などにはカラーデザインを採用するという。管路施設の耐震化工事は全処理区を対象に47カ所、マンホールの耐震化設計は巴波川と北那須で13カ所を予定している。

 処理場・ポンプ場のうち、鬼怒川上流(上流)処理区浄化センターは新規に汚泥輸送・前処理設備更新工事を22年度までの2カ年で実施する。

 中央処理区の県央浄化センターは、汚泥濃縮設備の更新工事を継続するほか、水処理施設増設に伴う詳細設計と22年度に着手する工事を日本下水道事業団に委託する。増設は、公共下水道宇都宮南部第10地区の今宮地区の流域下水道への接続替えによるもので、6系列目の1系列2池を増設する。22年度の工事は土木躯体を先行し、24年度から電気・機械設備工事を実施する計画だ。

 巴波川浄化センターは、汚泥脱水設備更新工事に着手して22年度まで2カ年で実施する。この浄化センターは一級河川巴波川左岸に位置するが、中頻度以上の降雨で河川が氾濫し浸水が想定されるため、耐水化計画を策定する。

 北那須浄化センターは、汚泥輸送・前処理設備の更新工事を継続するほか、一級河川箒川と同蛇尾川の合流部に立地することから、巴波川同様に中頻度以上の降雨による河川氾濫で浸水が見込まれるため、22年度にも耐水化計画を策定する見通しとなっている。

 大岩藤処理区の岩舟中継ポンプ場も、耐水化計画の策定対象。大岩藤浄化センターは監視制御設備更新工事を継続するほか、監視制御設備更新工事に着手し、22年度まで2カ年で実施する。

 思川浄化センターは、水処理施設の増設工事を継続し、22年度まで4カ年で実施する。処理人口の増加とともに、小山市と野木町で面整備が進んできたためで、沈殿池や反応タンクなど2分の1系統を増設する。

 下水道資源化工場は、ストックマネジメント計画に伴い、1系列目の全面更新を計画。19年度に焼却設備を施工して、20年度からは3カ年で汚泥処理設備の更新工事に着手している。

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