機器製作と土木設計 深山発電所 5カ年で全面改修 県企業局
[2021/06/11 栃木版]
県企業局は、固定価格買取制度(FIT)適用に向け、深山発電所(那須塩原市)の全面改修に着手する。経年劣化に伴う設備類の更新で、本年度は主要機器製作に着手するほか、土木工事の詳細設計をまとめる。県電気課によると、躯体を除く機器類を全面的に改修するほか、取水堰の補修、水槽内の除塵機更新、水圧鉄管の再塗装を計画している。整備スケジュールは、2023年度まで設計と製作、同年度末を目途に現地工事に着手し、25年6月の運転再開を目指すとしている。 =2面に琴寄行雄企業局長インタビュー
製作据付対象の機器類は、水車、発電機、配電盤、キュービクルなどで、既設の機器類は撤去する。既設の水車は、横軸単輪二射ベルトン型。発電形式は水路式で、発電機は三相交流同期としている。6月にも工事業者を選定する予定で、工期は25年7月31日まで。
取水堰はコンクリート重力式で、堤高5.5m、堤長23m、堤体積850立方m。本年度実施している詳細設計で不具合箇所を特定し、補修工法を決定していく。機器類の更新と土木系設計は、北電技術コンサルタント(富山県富山市)が担当している。
水圧鉄管の延長は238mで、管径は上流部が最大1m、下流部の最小は0.6m。塗装設計は22年度以降、直営で実施する予定だ。
深山発電所は、一級河川那珂川上流の流水を利用した自流式発電所で、1984年4月に運転を開始(工期は82年10月~84年4月)した。県営深山ダムの上流に取水堰を設け、最大毎秒2立方mを取水。長さ21.5mの取水路と26mの沈砂池、1215.466mの導水路、水槽、水圧鉄管を経由し、148.41mの有効落差を利用して最大2300kWの発電を行い、使用した水は深山ダムに放流している。