県内のスマートIC 足利の調査採択へ 4カ所で用地取得や工事
[2021/06/10 栃木版]
県内のスマートICの整備は、東北自動車道矢板北PAに接続する矢板北スマートICが本年3月に開通し、現在は大谷と下野で用地取得を、都賀西方と出流原PAでアクセス道路の工事を鋭意進めている。このほか、北関東道の足利ICと桐生太田IC間に計画する足利スマートIC(仮称)は、本年度内の準備段階調査の採択を目指している。
スマートICは、高速道路のSAやPA、バスストップなどから乗り降りができるETC専用のICで、SA・PA接続型と高速道路本線へ直接アクセス路を接続する本線直結型がある。ETC搭載車両に利用車両が限定されているため、簡易な料金所の設置で済み、料金徴収員も不要なため従来のICに比べて低コストで導入できるなどのメリットがある。
開通済みのスマートICは本年3月末時点で全国143カ所、事業中は同じく50カ所(いずれもフル化事業中の三芳スマートIC、三郷料金所スマートIC、蓮田スマートICの3カ所を含む)ある。また、スマートIC準備段階調査を全国5カ所で実施している。
県内の状況は、いずれも東北道の上河内、那須高原、佐野SAに加え、本年3月28日に矢板北が供用を開始し、供用中のスマートICは4カ所。隣接県に比べてIC数が少なく、また栃木IC-鹿沼IC間は距離が18.8kmと、県境区間でないにも関わらず長大な区間が存在している。
このため県内では、高速道路の多様な機能を有効活用して利便性の向上や地域経済の活性化を図るため、スマートICの設置を促進している。現在は東北道に大谷スマートICと都賀西方スマートIC、北関東道に出流原PAスマートICと下野スマートIC(いずれも仮称)の、計4カ所で事業を実施している。
大谷スマートICは本線直結型で、上り線は中丸野沢線に、下り線は主要地方道宇都宮今市線(大谷街道)に接続する。18年度末にアクセスする市道2路線が都市計画決定され、現在は用地買収の手続きを進めている。
アクセス道路は、料金所から高速道路内をNEXCO東日本、料金所から現道までを市が担当するが、実際は市の施工分もNEXCO東日本に委託して実施する見通し。用地取得が完了し次第、NEXCO東日本と工事委託契約を結んで工事に着手する。
また県は、宇都宮今市線の関連区間で道路拡幅や、中丸野沢線との交差点改良を実施している。東北道より宇都宮市街地側は用地取得を実施中で、一部まとまった箇所では工事も着手した。東北道より大谷側では、用地買収を急いでいる。
都賀西方スマートICはPA接続型で、国道293号とのアクセス道路を整備している。市施工分も含めてNEXCO東日本が工事を担当し、中林建設(本社・大阪府)で延長685m(上り線310m、下り線375m)の道路改良工事を22年3月までの工期で施工している。
道路改良工事に引き続き、舗装工事や構造物工事などもNEXCO東日本から発注する見通し。このほか、県は接続する国道293号を拡幅して右折レーンなどを設置するため、用地取得と一部工事を実施している。
出流原PAスマートICは、北関東道の佐野田沼IC-足利IC間に位置する出流原PAに整備して、周辺の物流・産業拠点や観光施設のアクセス性向上を図る。PA東行き、西行きとも県道山形寺岡線を介し、国道293号に接続する。
アクセス道路の工事は佐野市の施工分もあわせ、20年度にNEXCO東日本から日鋪建設(本社・東京都)に発注済み。また、佐野市は旗川調整池拡張工事を4月に、排水路工事を6月に発注しており、県も山形寺岡線の右折レーン設置に向けた用地取得や工事を実施している。
下野スマートICは本線直結型のフルアクセス形式(上下線)で、下野市道1-2号線(文教通り)に接続する。北関東道へのアクセス道路は料金所までをNEXCO東日本、料金所から市道までを下野市が施工する計画。あわせて、県は北関東道の側道として利用されている主要地方道羽生田上蒲生線の道路線形を改良する。
現在はICアクセス道路、主要地方道羽生田上蒲生線ともに用地取得の手続きを実施中で、手続きが完了し次第、工事に着手したい考え。市は当初予算に、用地費やNEXCO東日本への負担金など2億3610万円を計上している。
このほか、足利市は西部地区への足利スマートIC(仮称)設置に向け、20年度は準備段階調査の採択に必要な事前調査を実施してきた。引き続き、国から21年度内の採択を目指しており、採択を受けたあとに現地測量や予備設計などに着手するため、当初予算に委託料3000万円を予算化している。