本年度2カ所を工事 来年度までに214ため池調査 県農地整備課

[2021/06/09 栃木版]

 県は、防災重点農業用ため池に係る防災工事等推進計画を策定し、2021年度は那須町の江戸川温水ため池(りんどう湖)の防災工事と、宇都宮市の茗荷沢ダム(下)の廃止工事を実施する。国は市町村に対し、20年度補正予算からため池の劣化状況や地震・豪雨耐性評価の調査費を配分。推進計画は劣化状況評価を実施した結果、地震・豪雨耐性評価が未了のため池28カ所と、劣化・地震・豪雨耐性評価のいずれも未了のため池が186カ所としており、県農地整備課によると農業用水として利用していないため池を除き、これら214カ所について22年度まで2カ年で調査を実施していく見通しを示した。 =3~4面に対象ため池一覧

 本県の農業用ため池は520カ所あり、このうち、決壊した場合の浸水区域に家屋や公共施設などが存在する218カ所を防災重点農業用ため池に指定している。防災重点ため池の多くは明治時代以前に造成されており、近代的な技術基準を満たさないことや、老朽化が進んでいることから推進計画を策定。決壊による水害から県民の生命・財産を守ることを目的に、防災工事の集中的で計画的な推進を図る。

 基本方針では、全ての防災重点農業用ため池で劣化状況評価と地震・豪雨耐性評価を実施し、対策が必要と判断されたものについて早急に防災工事を実施するとしている。あわせて施設の管理・監視体制を強化し、ICTによる先端技術を活用した遠隔監視が可能な水位計や監視カメラの導入を推進、県から市町や管理者へ技術的支援も行う。なお、農業用の利用実態のないものは、多目的利用が見込まれる場合を除き、影響度を考慮したうえで廃止工事を行うとした。

 調査のうち劣化状況評価は、実施の有無に限らず、未利用ため池を除く209カ所が対象。評価後変状が認められたものは年に1回経過観察を行うほか、年2回以上定期的な点検を通じて決壊の危険性を把握する。地震・豪雨耐性評価は、未実施の214カ所が調査対象となる。

 役割分担は、劣化状況評価と地震豪雨耐性評価を市町が行い、防災工事は補助事業要綱で事業主体を県としたものを除き、市町や土地改良区等の管理者が行う。廃止工事も市町や土地改良区等が担当する。

 本年度に実施する工事のうち、江戸川温水ため池の事業主体は県、茗荷沢ダム(下)は宇都宮市となる。

 推進計画は、防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法が施行されたため策定した。農水省は防災工事等基本指針を策定し、都道府県に同ため池の指定と推進計画の策定を義務付けており、策定した都道府県には財政面で支援する。

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