20年度住宅着工が1万651戸 コロナ影響し13%減 県住宅課
[2021/05/28 栃木版]
県住宅課は、2020年度(4月~21年3月)の新設住宅着工統計(建築確認申請数)をまとめ、戸数が前年度比13.1%減の1万0651戸と、09年度以来11年ぶりの2桁減となった。コロナ禍による住宅設備等の輸入減による影響に加え、景気減速で住宅購入を控えたことが反映したと思われる。県内14市のうち戸数で前年を上回ったのは、栃木、日光、那須塩原、下野の4市、床面積では那須塩原と下野の2市にとどまっている。 =3面に市町別住宅着工一覧
戸数トップが3252戸の宇都宮市、床面積の伸び率では下野市が前年度比1.16倍の4万3786平方mでトップとなった。戸数・床面積とも安定した需要となっているのは、JR宇都宮線沿線や東武鉄道沿線等で、戸数・床面積とも前年度を上回ったのは、2市と前年度に比べ1市減少した。
コロナ禍で雇用環境が悪化基調で推移し、全用途で減少。1戸建ては前年度比9.8%減に止まったものの、マンションは70.3%減と、直近15年間で最も減少している。
利用関係別戸数では、最も多い持ち家が前年度比8.9%減の5865戸と5年ぶりに減少。16年度まで底堅い動きを見せていた貸家は、4年連続2桁減となる11.8%減の2560戸となった。
過去20年間のピークとなった06年度から東日本大震災を経て、16年度には総数が1万4000戸台に回復したものの、17年度は貸家に加え、給与住宅などの特殊要因が反映せず、1万4000戸を下回った。この傾向は19年度も続き、20年度はコロナ禍による影響が色濃く、1万台をようやく保った感が強い。ピークの06年度は2万1457戸で、11年度に1万3096戸にまで落ち込んだ住宅戸数は、東日本大震災からの復興需要を反映した12年度の1万5328戸を除けば、ここ数年は1万5000戸の壁を破れないばかりか、漸減傾向が続いている。
市町別で戸数を見ると、宇都宮市が群を抜いて多く、次いで小山市1223戸、栃木市920戸、那須塩原市676戸、佐野市615戸となっており、600戸を超えたのは前年度から1市減り5市に止まった。25市町全体1万0651戸における構成比は、14市が9639戸の90.5%を占め、残る11町は1012戸の9.5%となっている。
構成比が最も高いのは宇都宮の30.5%。伸び率では安定した地価動向を見せる下野市が15.0%増の431戸、床面積も1.16倍となった。
06年度から経年別に用途を見ていくと、08年度までは7900~9000戸台をキープしてきた持ち家数が、09年度からは7000戸台前半となり、15年度には6243戸まで落ち込み、18年度まで6000戸台前半で推移。19年度は6440戸まで回復したが、20年度は5865戸と6000戸を下回った。貸家数も同様の傾向が見られるものの、20年度までの過去4年間は減少するなど、200万人へ安定して増加してきた本県の人口も、10年代に入りかげりが見えてきた。
一方で、11年度から20年度まで2000戸台をキープしているのは分譲住宅。再開発による06年度のマンション需要の3590戸をピークに一時は1400~1700戸台に落ち込んだものの、地価の下落傾向を背景に上下水道や道路・公園といった社会基盤が整備され、市町等が開発した土地区画整理事業地などへの民間住宅メーカーの進出により、14年度は分譲一戸建てが2043戸、15年度2077戸、16年度2262戸、17年度も2433戸と微増で推移。10年度から最高を記録した。18年度の2309戸、19年度が2224戸、20年度は2191戸と減少したものの、好調さを持続している。
低金利優遇制度が続く銀行などを主体に、住宅購入に当たっては公的資金に比べ民間資金を活用するケースは依然として多く、14年度実績では92.8%、15年度93.1%、16年度89.2%、17年度89.5%、18年度91.0%、19年度89.5%、20年度も90.3%を占めた。公的資金の利用戸数が減少傾向で推移しているのに比べ、民間資金は安定した戸数を保っている。公的資金のうち支援機構は借入れ期間の35年間金利が変わらない「フラット35」の導入を背景に、08年度に306戸まで落ち込んだが、10年度には858戸まで回復、20年度は1031戸が活用している。