県管理道路の歩道整備 5カ年で75km、今年度は15km 統廃合や園児経路を加味
[2021/05/18 栃木版]
県は管理道路における通学路の歩道整備で、2021年度から5カ年の整備目標に延べ75kmを設定。毎年度15kmが目標で、県道路整備課によると、優先整備箇所の考え方として▽小学校から半径1km圏内で沿道に人家が存在し代替路線が無い区間▽12年度の実態調査に基づき1km圏外でも学童が徒歩で利用する区間-に加え、新たにスクールバス利用等による小中学校の統廃合の状況、幼稚園・保育園など未就学児を含めた移動経路の安全対策-2項目を基本方針に含め、対策を強化していくとしている。 =3面に20年度現場検証実績
通学路の整備にあたっては、13年度に方針を見直し、新たな優先整備区間と5年間の整備目標を設定。16年度からは県土整備プランに沿って5年間の目標75kmを踏しゅう。21年度からは新たなプランが始まっており、これまでの実績等を踏まえ、同じ目標の75kmを設定したもの。
県は12年度まで、年間30kmを目標に予算化を図ってきた。しかし、その後の整備対象箇所が沿道に補償物件が多く、時間と費用が嵩むことなどを理由に、整備目標を見直し。5年間の目標値を試算して年間15kmとしたもの。
13年度からの方針では、半径1km以内とする距離的な要因を継続。限られた予算を背景に、選択と集中により、児童の安全確保の視点を重点化し、徒歩圏を加えた。21年度からの新計画では、滋賀県大津市での未就学児の死亡事故等を教訓に、幼稚園・保育園に通う園児の移動経路も加味したもの。
県内市町の歩道整備に当たっては、道路管理者や学校・教育委員会、警察、PTAなどが連携し通学路の緊急合同点検を行う「通学路交通安全プログラム」に加え、道路整備促進期成同盟会が主導して国に要望する「とちぎの道現場検証」を実施。同検証作業は、通学路の歩道整備を重点対策に挙げており、改善箇所に交付金を導入するため、県と市町等関係者が一体的に活動していく。地元からの具体的な活動の成果が、歩道整備の予算化に結びついてきた。
「通学路交通安全プログラム」は、関係者が実態調査を踏まえ、安全対策に向けた検討を進めており、14年度までに25市町が策定。同プログラムにおける道路管理者が実施する改善箇所のハード対策は、歩道設置、路肩のカラー化、防護柵・ポストコーンの設置-などが挙げられ、用地買収の必要な歩道整備に国庫交付金を導入する場合、同プログラムに改善箇所として位置付けていく手法が定着している。
また、新規事業化を見据え、県と市町が協働し国に整備箇所を要望していく「とちぎの道現場検証」も全市町を対象に、15年度から始まった。関係者が実際の現場を視察し、車両通行に対する危険性除去の手法などを検証していくもの。現場検証の対象路線には、児童・生徒が通学路として利用しているものの、歩道がなく、危険な箇所が選定されるケースが大半。これまで検証を行った新規の路線では、県や市町など道路管理者が国庫交付金充当を視野に、調査に着手していく対応を行っている。
土木事務所別の主な歩道整備実施箇所は次の通り。([1]整備延長[2]総事業費[3]沿線小学校)
【宇都宮土木】
▽一般県道安塚雀宮線・雀宮工区(宇都宮市)=[1]500m[2]13億円[3]雀宮中央小学校
【鹿沼土木】
▽一般県道板荷玉田線・板荷小工区(鹿沼市)=[1]1550m[2]6億5000万円[3]板荷小学校
【日光土木】
▽一般県道小来川文挾石那田線・手岡工区(日光市)=[1]1500m[2]6億8000万円[3]落合東小学校
【真岡土木】
▽国道294号・八條工区(真岡市)=[1]1250m[2]9億9000万円[3]真岡東、西田井小学校
【栃木土木】
▽主要地方道桐生岩舟線・静工区(栃木市)=[1]770m[2]13億円[3]岩舟小学校
【矢板土木】
▽主要地方道塩谷喜連川線・片岡工区(矢板市)=[1]1120m[2]15億5000万円[3]片岡小学校
【大田原土木】
▽主要地方道西那須野那須線・埼玉工区(那須塩原市)=[1]1600m[2]6億円[3]埼玉小学校
【烏山土木】
▽国道294号・旭交差点(那須烏山市)=[1]260m[2]8億2000万円[3]烏山小学校
【安足土木】
▽一般県道築地吉水線・築地工区(佐野市)=[1]2700m[2]24億円[3]葛生南小学校