堰堤が5、急傾斜も5カ所 新規10カ所を測量設計 足利工高西と浄水場北に着工 県砂防水資源課
[2021/05/13 栃木版]
県砂防水資源課は、2021年度砂防事業の新規箇所をまとめ、通常砂防が下小網中沢(日光市藤原)など5カ所、急傾斜地崩壊対策事業は足利工高西(足利市西宮町)など5カ所に着手する。このうち9カ所が国庫、急傾斜地の浄水場北(大田原市紫塚)は県単で予算付けした。通常砂防は堰堤の整備で、新屋敷三号沢(那須烏山市大木須)が2基、ほかの4カ所は1基の施工を計画。急傾斜地は下の沢A(鹿沼市口粟野)と鷺ノ宮A(佐野市仙波町)が待受け擁壁工、北向IIA(茂木町青梅)と足利工高西は待受式防護柵、浄水場北には法枠工を計画。今年度は砂防・急傾斜地の指定を前提に、測量調査や施設の詳細設計、足利工高西と浄水場北は工事に着手する見通し。
新規の採択箇所はいずれも、下流域に特別警戒区域(レッドゾーン)や警戒区域(イエローゾーン)に人家が立地しているほか、避難場所に指定された公民館や集会所などの緊急避難施設、緊急輸送道路や高齢者等の要配慮者利用施設など整備の優先度が高いと判断。事業に着手することとなった。
下小網中沢は、鬼怒川に合流する支渓で、砂防堰堤1基を計画。下流域には、国道121号145mに加え、野岩鉄道川治温泉駅や小網ダム管理所の公共施設、人家8戸を保全する。事業期間は24年度まで、総事業費には1億5000万円を試算した。
天頂下沢(塩谷町船生)は、松川に合流する支渓で、荒廃地を改善するため堰堤1基の施工を計画した。下流域には国道461号242mに加え、宇都宮大学農学部付属演習林や人家9戸を保全する。事業期間は24年度まで、総事業費に2億5000万円を試算した。
木下沢(那須町簑沢)は、三蔵川に合流する荒廃した支渓で、堰堤1基の施工を計画した。下流域には主要地方道伊王野白河線180mが通り、町消防団や簑沢生活改善センターなどの公共施設に加え、人家20戸を保全する。事業期間は24年度まで、総事業費に2億円を試算した。
新屋敷三号沢は、那珂川に流れ込む木須川の支渓で、堰堤2基の施工を計画している。下流域には一般県道牧野大沢線407mに加え、大木須下公民館や人家7戸を保全する。事業期間は24年度まで、総事業費には3億円を試算した。
五十部四号沢(足利市月谷町)は、袋川に合流する支渓で、堰堤1基の施工を計画。下流域には、一般県道松田大月線205mに加え、月谷町自治公民館や要配慮者利用施設「笑顔の里」が立地しているほか、人家20戸を保全するもの。事業期間は24年度まで、総事業費には3億円を投入する見通し。
急傾斜地崩壊対策事業を実施する下の沢Aは、迂回路の無い市道120mと人家24戸を保全するため、待受け擁壁工210mを計画。事業期間が25年度まで、総事業費には2億7000万円を試算した。
北向IIAは、準用河川檜山川200m沿いの人家10戸を保全するため、待受式防護柵200mの施工を計画した。事業期間は24年度まで、総事業費に1億8600万円を試算している。今年度は測量調査と設計に加え、用地補償に着手する見通し。
足利工高西は、二級市道30mと人家12戸を保全するため、待受式防護柵120mの施工を計画。事業期間は24年度まで、事業費に1億8000万円を試算した。測量調査や設計を踏まえ、今年度は予定地の測量と補償、一部工事に着手していく見通し。
鷺ノ宮Aは、待受け擁壁工200mを計画。同地の要配慮者利用施設グループホーム「あゆ」や一般県道仙波鍋山線105mに加え、人家9戸を保全する。事業期間は24年度まで、総事業費に3億円を試算した。
浄水場北は、国庫充当の要件を満たさない急傾斜地の高さが10m未満のため、県単で対応するもの。工種には法面を安定させる法枠工730平方mを施工する計画で、人家20戸を保全。今年度は測量設計を踏まえ、用地補償を進め工事に着手する見通し。事業期間は23年度まで、総事業費に1億円を試算している。
新規箇所は次の通り。([1]工種[2]21年度事業費[3]21年度実施内容、単位・万円)
【通常砂防】
▼下小網中沢(日光市小網)=[1]砂防堰堤1基[2]1500[3]測量調査、設計
▼天頂下沢(塩谷町船生)=[1]砂防堰堤1基[2]1500[3]測量調査、設計
▼木下沢(那須町簑沢)=[1]砂防堰堤1基[2]1500[3]測量調査、設計
▼新屋敷三号沢(那須烏山市大木須)=[1]砂防堰堤2基[2]1500[3]測量調査、設計
▼五十部四号沢(足利市西宮町)=[1]砂防堰堤1基[2]1500[3]測量調査、設計
【急傾斜地崩壊対策】
▼下の沢A(鹿沼市口粟野)=[1]待受け擁壁210m[2]3000[3]測量調査、設計
▼北向IIA(茂木町青梅)=[1]待受式防護柵200m[2]1000[3]測量調査、設計、補償
▼足利工高西(足利市西宮町)=[1]待受式防護柵128m[2]5000[3]測量、補償、工事
▼鷺ノ宮A(佐野市仙波町)=[1]待受け擁壁128m[2]3000[3]測量調査、設計
▼浄水場北(大田原市紫塚)=[1]法枠工730平方m[2]1150[3]補償、工事