南房総地域で覚書 統合・広域化の検討 末端給水事業
[2021/4/30 千葉版]
県内の末端給水事業について、統合・広域連携に向けた検討状況が明らかになった。九十九里・南房総地域では、県企業局との統合の効果を地域全体で享受するため、リーディングケースの協議と併せて、末端給水事業体の統合について検討している。南房総地域では、末端統合に向けた基本的方向性について覚書を締結した。
2019年9月に公表した千葉県版水道ビジョンでは、人口減少が見込まれる中、将来にわたり水を安定供給するため、水道事業体の経営健全化、技術の確保、施設の更新などの課題を解決する必要があると指摘。
個々の取り組みでは限界があることから、現在の水道用水供給事業体と、その構成市町村の枠組みを基本に、県内8ブロックを設定し、統合・広域連携の検討を進める方針が示されている。
県営水道が給水している地域では、これまでの経緯や県と市との役割分担を踏まえ、地域の水道事業のあり方について、関係市と十分に対話を行い検討する方針。県は20年3月以降、関係11市や県企業局とともに会議を開き、水道事業のあり方について検討を進めている。
ブロックごとの検討状況をみると、九十九里地域では、統合協議会準備会議での検討状況を踏まえつつ、事業体単価の将来推計を実施。今年度以降、統合後のシミュレーションを進めていく。
16年3月に、八匝水道企業団、山武郡市広域水道企業団、長生郡市広域市町村圏組合水道部、山武市で構成する「県内水道の統合・広域化の進め方に係る九十九里地域水道事業体会議」を設置。17年度から九十九里地域水道企業団がオブザーバーとして参画している。
南房総地域では、20年8月26日付けで「末端統合に関する基本的方向性」「統合・広域化基本計画の策定、協議検討をさらに進めること」について合意し、覚書を締結した。安房・夷隅の地域ごとに新たな協議組織を立ち上げ、検討を進めていく。
印旛地域では、末端給水事業体の統合・広域連携に関する検討を行うため、18年3月に成田市、佐倉市、四街道市、八街市、印西市、白井市、富里市、酒々井町、長門川水道企業団、印旛郡市広域市町村圏事務組合水道企業部で構成する研究会を発足。統合した場合の財政運営などについて検討を進めている。
東総地域では、末端給水事業体の統合・広域連携に関する検討に向け、19年4月に銚子市、旭市、東庄町、東総広域水道企業団で構成する研究会を設置。基礎調査を踏まえ、水需要や施設配置、経営状況などを考慮し、業務・施設の共同化に向けた可能性について検討している。
北千葉地域と香取地域では20年9月、水道広域化推進プランの策定に当たり、地域における水道事業の課題共有と今後の統合のあり方について勉強会を立ち上げた。構成員は、北千葉地域が県と松戸市、野田市、習志野市、柏市、流山市、八千代市、我孫子市、北千葉広域水道企業団で構成。香取地域は、県と香取市、神崎町、多古町で構成している。